1年目を振り返って【ジンバブエ便り No.27】

日本は本格的に春となり、気持ちの良い日が続いているのではないかと思います。こちらジンバブエは南半球にあり、これから乾期に入ります。だんだんと日も短くなり、涼しくなってきました。

さて、昨年3月にジンバブエで事業を始めてから早いもので1年以上が経ちました。今年の3月の始めには、おかげさまで1年目に計画していた事業内容をすべて無事に終えることができました。そこで、今回は1年目に行なった事業の内容を振り返ってご紹介したいと思います。

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完成した校舎

まず1つ目ですが、3つの小学校で2棟ずつ校舎を建設しました。1棟あたり2教室、計4教室あり、約180人の生徒がこの4つの教室で学ぶことができます。

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教室の中の様子

もちろん、校舎という「箱」ができただけでは十分ではないので、机や椅子も備え付けました。これまで、いわゆる校舎というものはなく、子どもたちは木の下や今にも壊れそうな小屋で授業を受けていたため、レンガとコンクリートで建てられた校舎の中で学べるということは学習意欲を向上させるための大きな変化となります。また、変化は子どもたちだけでなく、先生においても起こりました。

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子どもたちとその保護者たち

今回支援した3つの小学校では、これまで多くの先生が1年契約でしか働けませんでした。なぜなら、先生たちは高等教育を受けてはいるものの、教師としての十分な能力を持っておらず、質の高い教育を子どもたちに行なうことができなかったからです。

そして先生の入れ替わりが激しいということは、学校側としてもきちんとした計画に基づいて子どもたちを教育していくことが難しいということに繋がります。こうして、この地域の教育の水準はなかなか向上しないままだったのです。

しかし今回、校舎ができ先生たちにとっても職場環境が良くなった結果、教師として十分な能力を持ち、複数年契約で働くことのできる先生がこれらの学校で働き始めました。先生にとっても、木の下などで埃にまみれながら授業を行なうことは、辛いことです。校舎ができてこれまでよりもずっと落ち着いて授業を行なえるようになったことによって、より多くの先生がこれらの学校で働きたいと思ってくれるようになりました。新しく来た先生たちは教育に関する十分な訓練を受け豊富な知識を持っているため、子どもたちにより良い授業を行なうことができます。校舎を建てたことによって、教育の質も改善しつつあります。

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完成した浅井戸

また2つ目の活動として、水衛生環境の改善として15基の井戸を新たに設置し、6基の井戸を修繕しました。今回設置もしくは修繕したのは浅井戸と呼ばれるもので、深さが10mから15m程度あります。たいてい、15から20家族が1つの井戸を一緒に使っています。

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地域の人たちが水場として使っている川

これまで多くの人たちが川で汲んだ水を使って食事をつくったり、洗濯をしたりしていました。川の水には人や動物の排せつ物などが混ざっているので衛生的ではなく、飲料水としても安全ではありません。実際、こういった安全ではない水を使って食事をつくったり飲んだりしていたため、2008年にはこの地域でコレラが大流行し、多くの人が命を落としました。
今回、浅井戸を整備したことによって、多くの人たちがより安全な水を使って生活できるようになりました。

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研修を終えた村人たち

さらに3つ目の活動として、小・中学校や村で衛生トレーナーの育成を行ないました。保健や衛生に関する知識を学校や村で伝えられるようになるために、それぞれの小・中学校や村から選ばれた人たちに5日間の研修を受けてもらいました。

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紙を使ったプレゼンテーションだけでなく、踊り、歌なども織り交ぜながら、知識を伝えている。

昨年の10月に研修は終わり、今はそれぞれのトレーナーが週1回のペースで学校の生徒や村の人々に知識を伝えています。家庭や学校の衛生環境を良くしていくためには、井戸をつくったり、トイレをつくったりするだけでは足りません。井戸やトイレをきちんと使うことの大切さを理解し、それらを実際に使い、さらに維持・管理できるようにならなくてはなりません。そのためには、このような知識の普及が欠かせません。

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小学校の子どもたち

ジンバブエ事業はすでに2年目に入っています。2年目の事業では、1年目に行なった校舎の建設や衛生トレーナーの育成に加えて、小学校に雨水を溜められる貯水タンクを、そして小・中学校に手洗い場を設置します。子どもたちを下痢や感染症から守るためには、まだまだいろいろな形で支援をしていく必要があります。

2年目もゴクウェ・ノース地区の子どもたちが安心して、そして安全に学校で学べるように支援を続けていきます。また、学校を含めた地域全体の衛生環境がより良くなるように、地域の人たちと一緒になって取り組んでいきます。
引き続き、皆様のご支援をよろしくお願いいたします。

【今月のショナ語】

毎月、ジンバブエ便りでは現地で主に使われている言葉であるショナ語(ショナ族の言葉)の簡単なフレーズを紹介していきます。ショナ語は、ローマ字読みで発音できるので、是非声に出して覚えてみてください。ジンバブエでは他に英語、ンデベレ語(ンデベレ族の言葉)などが使われています。

Tinofara! (ティノファラ)
意味:嬉しい!

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建設中の校舎の前で遊ぶ子供たち

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