貯水タンクってどうして必要なの?【ジンバブエ便り vol.28】

7月に入り、南半球に位置するジンバブエでは朝晩の冷え込みが一層厳しくなりました。それとは逆に、北半球に位置する日本では暑い日が続いているのではないかと思います。

さて、2年目のジンバブエ事業も開始から約4か月が経ちました。現在は中学校の校舎建設と並行して、1年目に建てた小学校に雨水を蓄えることのできる貯水タンクの設置工事も進めています。今回は、その貯水タンクについてお話ししたいと思います。

貯水タンクは、子どもや先生が汚染されていない安全な水を使えるようになることで、下痢や感染症にかかりにくくすることを目的としています。今年は、5つの貯水タンクを完成させる予定です。

ただ、ここでみなさんがきっと疑問に思われるのは「雨が降らなければ水を貯えられないのではないか」という点だと思います。確かにジンバブエでは、12月から3月までの約4か月間が雨季で、それ以外の8か月間が乾季となっています。乾季にはほとんど雨が降らないので、雨季にしかこの貯水タンクを使うことができません。

8か月という長い乾季の間に水が手に入らないのなら、貯水タンクを設置してもあまり意味がないのではないか、と思われるかもしれません。しかし、むしろ雨季こそ安全な水をちゃんと利用できるようにする必要があるのです。

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住民が水場と利用している川

雨季にはたくさんの雨が降り、水には困りません。ただ、安心して使える衛生的な水はとても手に入りにくくなります。なぜなら、人や動物の排せつ物などが大雨によってあちらこちらに流れていき、フタのついていない井戸や川の中に流れ込んでしまうからです。住民の多くがこれらの水源を利用するため、下痢や感染症に非常にかかりやすくなります。

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雨季になると川の水かさは一気に上がる。

日本であれば、下痢や感染症にかかっても適切な処置を受けられますが、ゴクウェ・ノース地区のような都市部から遠く離れた場所では、診療所が遠くて行くことが難しかったり、診療所に行くことができても十分な薬がなかったりなどして、適切な処置を受けることは容易ではありません。特に雨季になると、川の水が氾濫し、診療所に行くことさえできなくなることがあります。そのため、下痢や感染症によって命を落としてしまう人が今でも多くいます。特に、5歳以下の子どもは命を落とす確率が大人と比べて高いです。
雨季こそ、住民が安全な水を必要としている時期なのです。

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貯水タンクの基礎工事の様子

1年目の事業では3つの小学校にそれぞれ2棟ずつ、計6棟の校舎を建設しました。貯水タンクはこれらの6棟のうち5棟に併設されます(3校のうち2校にタンクを2つ設置し、残りの1校には1つだけ設置します)。貯水タンクの設置数は、各校の児童数によって異なります。

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貯水タンクの側面工事の様子

貯水タンクはセメント製で、貯水量は1基あたり30,000Lです。校舎の屋根に備えつけられた雨どいから雨水が貯水タンクの中に流れ落ちるようになっています。設置工事は6月初旬から始まりました。まずは工事に携わる作業員へのトレーニングを兼ねて貯水タンクを1基設置します。作業員は設置工事の進め方や注意すべき点をしっかりと把握したうえで、残り4基の工事に移る計画です。

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すでに他の学校に設置されているスチール製の貯水タンク。このタンクの貯水量は10,000L。
(なお、この貯水タンクは、本事業で設置したものではありません。)

水は命を支える大切なものですが、その一方で気を付けないと命を奪いもします。だからこそ、安全な水が手に入るようにしていく必要があるのです。これからも、私たちはここゴクウェ・ノース地区で一人でも多くの人々が安全な水を利用できるように支援を続けていきます。みなさまのご支援をよろしくお願いいたします。

※この事業は、外務省日本NGO連携無償資金協力の助成も受けています。

【今月のショナ語】

毎月、ジンバブエ便りでは現地で主に使われている言葉であるショナ語(ショナ族の言葉)の簡単なフレーズを紹介していきます。ショナ語は、ローマ字読みで発音できるので、是非声に出して覚えてみてください。ジンバブエでは他に英語、ンデベレ語(ンデベレ族の言葉)などが使われています。

Tinofarira kudzidza (ティノファリラ クズィザ)
意味:勉強好き!

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去年建設された校舎の中で学ぶ子どもたち

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