世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るう今、ジンバブエはどうなっているのか【ジンバブエ便りVol. 48】

ジンバブエの大統領は、2020年3月30日から4月19日までの21日間のロックダウンを宣言しました。そして、まず5月3日まで、その後さらに5月17日まで延長されました。基本的に外出は禁止で、自宅から半径5キロメートル以内であれば食糧や燃料、医療品などの必需品の購入はできますが、それ以外の外出は禁止で、違反者には罰則が科せられます。

語学を勉強する場所、レストランなど多くの店が無期限で営業停止

ジンバブエでの初めての新型コロナウイルス感染者は、3月20日に保健育児省大臣から発表された38歳のビクトリアフォールズ在住のジンバブエ人です。感染者には、英国への渡航歴がありました。

そして、2人目の感染者は翌日21日に報告された、ハラレ在住のジンバブエ人で、南アフリカ経由でアメリカ(ニューヨーク)から帰ってきた方でした。同月24日、2人目の感染者であった著名ジャーナリストが30歳という若さで亡くなったというニュースが報道されたことでジンバブエ全土に衝撃が走りました。

死亡の背景には、本人に慢性的な疾患があり肺の腫瘍摘出手術を昨年に受けていたことに加え、当時指定病院に人工呼吸器の在庫が無かったなど、ジンバブエの医療キャパシティの限界もありました。彼の死以降、寄付を受けるなどして、人工呼吸器は病院に設置されました。

5月13日現在での感染者累計確認数が37人、うち死者数は4人と、数字のうえでは少なく見えますが、国民の多くが見えない恐怖におびえながら生活しています。
(情報元:世界保健機関の情報報告書“Situation Report – 114”)

失業率80%以上のジンバブエで、その日を生き延びるために路上でバナナなどの食材を販売していた人たちの姿は見られなくなりました。国から提供される保証もなく、外出禁止令で収入が得られない中、彼ら・彼女らはどのように生きているのでしょうか。移動証明書を持っていれば、NGO関係者などは国内を移動することができます。 

以下は、スタッフが移動した時に撮影してもらった写真です(4月中旬)。

国からの保証がないと、貧しい人はさらに厳しい生活を強いられます。上記の写真にあった「人から盗むよりましだ」の言葉には、ジンバブエの国民性がよく表れていると思います。ジンバブエ人は、温厚で、優しく、真面目に仕事をする人たちが多いです。

挨拶では、ショナ語でマムカセイ(今日は元気?) という質問にタララセイ (私たちは元気だよ) と答え、お互いの家族の健康を確認し合い、固い握手を交わします。ただ、新型コロナウイルスの影響で、人々は握手をやめ、挨拶代わりに靴と靴を合わせるようになりました。

そのような中で、人から盗むよりも、物乞いしてでも生き延びようとする姿は、ジンバブエ人の相手を大切にする生き方そのものだと思います。

ADRA Japanの教育事業は、2度目の延長時に規制が少し緩められたので、スタッフがフィールドに行くなど少しずつ活動を始めることができました。新型コロナウイルスの影響が、できる限り早く収束し、みんなの不安が解消され、事業を通して、少しでも多くの人たちに教育を提供できる環境を構築していきたいです。きっと校舎が完成した暁には、教員が子どもたちに、新型コロナウイルスへの対策を教えていくでしょう。

★新型コロナウイルス感染予防のために★

・石鹸を使いこまめに手洗いをしましょう。また、アルコール消毒液を持ち歩いて水が無いところでも手を清潔に保てるようにしましょう。
・洗っていない手で目、鼻、口を触らないようにしましょう。無意識に触っていることがあります。
・具合が悪い場合は、家の外に出歩かないようにしましょう。そして、すぐに病院で診察を受けましょう。
・毎日体温測定と自分の症状を確認し記録を残しましょう。
・咳やくしゃみをするときは、咳エチケット(マスクやティッシュ・ハンカチ、袖を使って口や鼻を抑えること)を守りましょう。
・不要不急の外出を避けましょう。
・外出する場合や自宅においても3密(①換気の悪い密閉空間②多数が集まる密集場所③間近で会話や発生をする密接場所)を避けましょう。

■COVID-19に関するウェブサイトの紹介

◆厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
◆外務省:海外安全ホームページ
◆日本国立感染症研究所:新型コロナウイルス(2019-nCoV)関連情報について
◆参考:ジンバブエ日本国大使館のHP「領事情報」 

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