アフリカ南部の中央に位置するジンバブエは海に面していない内陸国です。
人口は約1,460万人、多用な文化を持っており、その中でも食文化は、紛れもなく多様な人種や文化を特徴付けるものの一つです。
今回はジンバブエの食事についてご紹介したいと思います。
ジンバブエの主食である、メイズ(とうもろこしの一種)の粉をお湯と一緒に練り合わせた料理はサザ(ショナ語表記でSadza)と呼ばれ、国民食であり、野菜の煮物や、余裕のある家庭では牛肉や鶏肉などの付け合わせと一緒に食べます。
サザは通常夕食に食べますが、経済的理由、もしくはその家の好みにより、家庭によっては昼食にも食べます。
熱々のサザを何食わぬ顔で平然と手で掴み食べている様子を見ると驚きますが、サザの淡泊な味がどの付け合わせとも良く合います。
ピーナッツ、豆、バターナッツ、ムボラと呼ばれるカボチャの葉をピーナッツバターと和えたもの等もジンバブエの伝統的な食べ物です。
また、サンプと呼ばれるひき割りトウモロコシを茹でてピーナッツバターと和えたマヌチュという料理も、そのまま食べたり、肉や野菜の付け合わせと食べたりと好まれています。
カボチャをよく茹でて潰し、ピーナッツバターと和えたノピもカボチャが出回る季節には多くの人が昼食や夕食時に好んで食します。
お粥もまた、若者からお年寄りまでみなが好む食べ物で、朝食の食卓に良く上ります。
ミリミール(メイズという種類のとうもろこしを挽いた粉)をお湯で練り、砂糖、塩、マーガリンやピーナッツバターを加えて作ります。
また、特に幼児にはここにアボカドやヨーグルトなど栄養のあるものを入れて食べさせたりもします。
焼きトウモロコシもまた多くの人が好む食べ物で、集会があったりすると、直火でメイズをローストし、この焼きトウモロコシを食べながら議論やおしゃべりを楽しみます。
車に乗って道で信号待ちをしていると、焼きトウモロコシを抱えた子どもが売りに来るということも良くあります。
調理したお米にピーナッツバターを加えて和えたご飯も美味しく、チキンやその他付け合わせと一緒に食べます。
夏は、青空市場で乾燥したモパネワームや羽アリ(イシュワ)を売っています。
これらはフライにして食べます。
食べたことがあるスタッフによると、イシュワの味はエビに似ていて美味しく、おつまみとして止まらなくなるとのこと。
またオレンジ、リンゴ、ブドウ、バナナ、モモ、グアバ、マンゴーなどのフルーツは多くの家庭で日常的に食べられています。
マジャンジェ、バオバブの木に生る実(マウユ)などの伝統的なフルーツも10月~4月の雨季になると手に入ります。
ジンバブエ人は炭酸飲料も好物で、ストーニーと呼ばれるジンジャエールの一種はどこでも手に入ります。
一方で、発酵させたミリミールに砂糖を少し加えて作るマヘウはジンバブエの伝統的な飲み物です。
訪問した家庭で飲ませてもらいましたが、白濁したマヘウは酸っぱく、どこか自家製酒のようなアルコール臭さもあり独特の味でした。
ジンバブエ人のアルコールの摂取量も多く、地域で醸造されたものから、輸入されたビールまで、幅広く飲みます。
炭酸飲料やお菓子など、輸入品も多く口にする一方で、地域や国で取れる野菜や果物を工夫して調理し、独特の食文化を持つジンバブエ。
特にメイズは主食のサザをはじめ、ジンバブエの食を支えている中心的な食材で、甘味から飲み物まで、様々な料理に使われていることが印象的でした。