ジンバブエ事業を日本からサポートしている中野佐知です。
子どもたちのより良い教育を達成することを目的としているゴクウェ・ノース地区での教育事業の第2期が、今年6月半ば、
無事に終了しました。
駐在をしている小松に、2期事業を一言でいうと? と聞くと「コロナ禍での挑戦」という言葉でした。
そう、2020年3月に開始した2期事業は、世界的な新型コロナウイルス感染症の拡がりと共に始まったようなものでした。
事業期間中、2回のロックダウンがありました。
初めてのロックダウンの時には、ADRAスタッフ、教師、子どもたち、保護者など、皆、戸惑うばかりで、何の準備もできないままステイホームとなりました。
学校は2回のロックダウンの間に合計約9か月、休校になりました。
駐在の小松も、新型コロナウイルス感染拡大に伴うADRA Japanの方針のもと、昨年の3月に一時帰国し、小松は日本から遠隔で事業マネジメントを行うことになりました。
心配と現地で一緒に活動ができないもどかしさがありながらも、現地のスタッフと毎日Zoomを使ったビデオ会議やWhatsAppを使ったオンライン通話、メールなどで連絡を取りながら事業を運営しました。
ロックダウンが解除され、活動許可が下りたあとには、感染拡大防止を考慮しながら事業運営をする必要がありました。
また、活動の遅れを取り戻し、事業の目的である、「子どもたちによりよい教育を」を達成するためには、残された事業期間で活動の質をさらに高め、加速しなければなりませんでした。
ロックダウンの後、学校に戻らなくなってしまう子どももいましたし、その期間中、生計向上のために学校で育てていた鶏やヤギが順調に増えず、病気にかかってしまうこともありました。
そのため、コロナ禍でどのように事業運営をしていけばいいかチームで話し合い、試行錯誤を重ねました。
教育の重要性を伝えるイベントは、大人数で集まることになるので、一軒一軒を回る戸別訪問の形式に変更し、事業チームと学校ボランティアが家々を回りながら、メッセージを伝えていきました。
学校での生計向上活動では、ロックダウン時にどのように家畜の世話を継続するのがいいのか、学校開発委員会と共に計画を見直しました。
また、追加の活動として、休校の間も子どもたちが学習を継続できるように、学習キットを配付することにしました。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、ジンバブエの子どもたちの教育環境はさらに難しいものになりました。
ラジオ等を使ったオンライン授業を開始した学校もありますが、ADRAが活動しているゴクウェに住む子どもたちの多くは
インターネットの電波が届かず、電気も限られています。
オンライン授業を受けられる環境にはほど遠いため、教育格差がますます広がる現実に直面しています。だからこそ、私たち事業チームの「子ども達の未来のために教育環境をよりよくする」という想いはさらに強固になっています。
いつでも、より苦しい思いをする、弱い立場にある人々の尊厳の回復と維持のために動くのがADRAだからです。
学校は6月末より始まる予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の第3波が到来し、休校が続いています。
ですが、ADRA Japanは活動を止めず、先月7月から教育事業の第3期をスタートしています。
3年間事業の最終期となります。
この1年をかけて、住民を巻き込んだ教員棟の建設、地域の人たちへ教育の重要性を伝え続ける活動、そしてそれを
学校開発委員会が今後も自立して行っていけるように、支援活動を実施していきます。
まだまだ「コロナ禍での挑戦」は続きます。
どうか、事業の完了まで見守って頂ければと思います。
※この事業は、皆様からのご寄付のほか、日本NGO連携無償資金協力の助成も受けて実施しています。