現地のみんなが参加する「住民参加型学校開発事業」、着々と進んでいます!【ジンバブエ便り vol. 61】

皆さん、こんにちは!

ADRA Japanは、2022年4月からジンバブエのザンビアとの国境に近い西マショナランド州ニャミニャミ地区で、住民参加型の学校開発支援に取り組んでいます。

活動をしているマジャゾ小学校、マレンベジャ小学校、サウィラマカンデ小学校があるニャミニャミ地区は、「マトゥサドナ国立公園」と呼ばれる国立公園が隣接する地域です。

ゾウやクロコダイルをはじめとする野生動物と村の人々の生活圏が混在しており、初めてこの地域に支援に入る事業チームスタッフにとっても、新しい発見が多いです。

<マレンベジャ小学校から水汲み場へ向かう道中。学校の真裏にゾウの糞や足跡がありました(2022年5月)>

ADRA Japanは、これまで8年間に渡りジンバブエのミッドランド州ゴクウェ・ノース地区で教育支援に取り組んできました。

(今年の6月に完了した事業の報告はこちら)

その中で培った経験を活かし、ニャミニャミ地区では住民が主体となって学校開発を実施していくための基盤づくりを支援する活動を開始しました。

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<「通学中にゾウに遭遇したことがある人?」と聞くと多くの子どもたちが手を挙げた(2022年6月)>

対象としている3校の小学校は、ジンバブエ政府に正規登録されていないサテライトスクールです。

地域に野生動物が多く通学中の危険があるため、子どもたちの通学距離を少しでも短くするために村の人々によって設置されました。

資源が非常に限られている環境の中で住民たちが協力して作ったワラぶき屋根や木の下が教室となっています。

1校あたり、250人~450人の子どもたちが通っており、この地域の子どもたちにとってなくてはならない学校ですが、ジンバブエ政府に正規登録されるためには整った学校設備が必要です。

また、学校のすぐ裏にまで象などの野生動物が来る環境で、子どもたちが少しでも安心して授業を受けられるようにするためにも、丈夫な校舎は必要とされています。

これまで学校は収入向上活動の支援などを受けたことがある一方で、財政がひっ迫するジンバブエ政府からの支援は乏しく、
安定した収入源はありません。

そのため、教育環境の整備や学校の開発が進まない状態にあります。

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<丸太とワラの教室で学ぶ子どもたち(2022年7月)>

こうした状況下で子どもたちが学び続けることのできる学校を整備していくためには、校長先生や教員、地域のリーダー、保護者からなる学校開発委員会の高い運営管理能力が必要とされます。

そして施設管理はもちろん、維持管理に必要な収入の確保、予算管理、学校開発の計画づくりなどに学校開発委員会メンバーたちが自ら取り組んでいくことが必要です。

こうした背景の中、私たちADRA Japanは現地のジンバブエ支部とともに学校のインフラ整備を進め、学校が自分たちで持続可能な開発を行っていけるように、トレーニングを実施しています。

事業を開始して6か月が経つ2022年10月現在、まだまだスタート地点ではありますが、現地では少しずつこれまでの経験を活かした取り組みが行われています。

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<学校開発委員会のチームビルディング研修の様子(2022年9月)>
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< 研修後にフォローアップとして参加者に聞き込みを行うスタッフ(2022年9月)>
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<住民から選ばれた建設作業員を指導するアドラのベテランスタッフ(2022年8月)>

インフラ整備の一環で実施している校舎建設では、住民から選ばれた建設作業員をADRAスタッフが指導しています。

活動の中心となっているスタッフは、地域開発にも理解が深く建設の知識もあり、技術的な指導もできます。

前のゴクウェ・ノース地区の活動でも、人々に寄り添った指導を行い地域を支えた経験があります。

学校建設の資材となるレンガは、住民によって集められた水・砂利・砂などを使って住民自身が作り、建設作業員はそれを用いて校舎を建てていきます。

住民主体で校舎建設を進めることで、建設後の施設管理や教育そのものに対する住民の意識向上につながり、さらには建設という専門的なスキルを身に付けた住民がその先のキャリアを切り開いていくきっかけにもなります。

もともとは何も無かったところに住民たちが汗を流して運んだ砂や砂利が集まり、レンガが作られ、一段一段とレンガが積み上げられていき、現在では窓枠の高さまで校舎が完成しています。

その経過を見るだけでも胸が熱くなります。

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<まっさらな校庭に住民たちがバケツに入れて運んできた砂が集まり始めた事業開始当時(2022年5月)>
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< 何もなかった場所に校舎が形作られ始めた(2022年9月)>

これらの活動を「学校開発の基盤づくり」と語るのは簡単ですが、本当の意味で住民参加型の活動に取り組み人々に主体的な学びをもたらすためには、こまやかな配慮や辛抱強さが必要です。

それはときに遠回りにも見える道のりですが、私たちアドラのジンバブエ事業チームは今後も丁寧に学校開発委員会や地域の住民の方々と向き合って活動を実施してまいります。

これからも、このニャミニャミ地区での住民やスタッフの奮闘、現場での変化などを発信していきますので、皆さまの温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

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< 学校教員と話をする駐在員とアドラスタッフ(2022年6月)>

※ ジンバブエ事業は、皆さまからの温かいご寄付と、日本NGO連携無償資金協力の助成も受けて実施しています。

(ジンバブエ事業 東京本部担当 高橋 睦美)

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