雨水を溜めるタンク【ジンバブエ便り vol.21】

すっかり寒さも厳しくなり、冬に入り始めましたね。
一方、南半球にあるジンバブエは非常に暑く、雨季を迎えつつあります。

さて今回は、貯水タンクのお話をしたいと思います。前回は、地下から水を汲み上げる井戸の話でしたが、今回は空から降る水を溜める話です。来年から実施しようと準備を進めている事業では、安全な水を確保するための方法として、井戸とあわせて貯水タンクの設置も検討しています。

前回のブログでも書きましたが、ゴクウェ・ノース地区は慢性的な水不足に悩まされています。

通常は井戸を掘って地下から水を汲み上げるのですが、同地区では場所によっては地下水が採れにくかったり、人体に悪影響を与える物質を含んでいたりすることもあるため、井戸が設置できません。

そういった場合、水を確保するもう一つの方法として、雨水を貯める貯水タンクの設置が考えられるのです。

岸辺を掘って水を汲む人々

貯水タンクの設置を選択するまでの道のりは、決して平坦なものではありませんでした。

そもそも貯水タンクの設置を検討した理由は、ADRA Japan がゴクウェ・ノース地区で2010年から2011年にかけて行なった「コレラ感染症予防のための水衛生改善事業」(外務省NGO連携無償資金協力の助成による)において、必ずしもすべての井戸から、期待していたほど十分な量の安全な水を得ることができなかったからです。

そこで、アフリカでの井戸の掘削に詳しい日本人の専門家の方にお話を伺ったり、ジンバブエで水・衛生を専門に担当している行政職員、NGO関係者、専門家の方々などへの聞き取り調査を行なったりしました(外務省NGO事業補助金の助成による)。

その結果、やはりゴクウェ・ノース地区には住民が十分に利用できるだけの量の地下水がなく、しかもその水に何らかの化学物質が含まれている確率が高いということが分かりました。こうした専門家の方々のアドバイスも踏まえたうえで、貯水タンクの設置を検討することになったのです。

貯水タンクに水を溜めるには、一定規模の頑丈な建物に雨どいを張り巡らせ、集めた雨水をタンクの中に流し込むという方法が一般的です。

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20,000リットルの貯水タンクの設置例

現在準備を進めている事業では、学校の校舎に雨どいを取り付け、校舎の隣にタンクを設置することを考えています。1校あたり30,000リットルの貯水タンクを設置することで、約3ヶ月の雨季とその後の1ヶ月の計4ヶ月間にわたって、学校の生徒や教員に対して水を供給できると考えています。

年間を通して水を供給できないと考えると、4ヶ月という期間は不十分なのではないかと思われる方もいるかもしれません。雨は雨季にしか降らないため、一年のうち9ヶ月を占める乾季の間は、貯水タンクから水を得ることができません。水を継続的に手に入れるという視点からは、確かに4ヶ月は短いとも言えます。

しかし、感染症などの病気の流行は、そのほとんどが衛生状態の悪化する雨季の間に起こるため、その期間に安全な水を確保できることが、病気の蔓延を防ぐ上で非常に大切なことになります。そのため、4ヶ月という限られた期間ではあっても、安全な水が使えるということは大変重要なことなのです。

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30,000リットルの貯水タンクの側面
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同貯水タンクの正面

水源に恵まれないゴクウェ・ノース地区にとって、雨季限定ではあるものの、貯水タンクの設置は安全な水を確保するための優れた方法です。

現地で貯水タンクの設置作業が始まった頃には、皆さんに貯水タンクの設置工程などについてもお話したいと思います。

【今月のショナ語】

毎月、ジンバブエ便りでは現地で主に使われている言葉であるショナ語(ショナ族の言葉)の簡単なフレーズを紹介していきます。ショナ語は、ローマ字読みで発音できるので、是非声に出して覚えてみてください。ジンバブエでは他に英語、ンデベレ語(ンデベレ族の言葉)などが使われています。

Ndinodya sushi! (ンディノジカ スシ!)
意味:私はお寿司を食べます。

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小学校の子どもたち

  
(文責:ジンバブエ事業担当 前川龍太)

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