現地のみんなが参加する教育支援、1年目の成果。校舎が完成した喜びの声も届いています 【ジンバブエ便りVol.62】

温かいご支援をいただきありがとうございます。

2022年4月にジンバブエ北西部のニャミニャミで開始した、住民参加による学校開発事業を開始して1年になります。

今年は3年事業の1年目ということで、今後に向けて様々な基盤づくりに取り組めました。

【学校建設】
まず、マジャゾ小学校、マレンべジャ小学校、サウィラマカンデ小学校の3つの小学校で、住民の方々の協力のもと、新しい校舎を1棟ずつ建設することができました。

これらの学校では校舎が足りず、ほとんどの生徒が、かやぶき屋根の下で授業を受けています。

これでは雨や風を防げず、天候の悪い日は授業ができなかったり、砂ぼこりや周りの音も防げないため、児童が授業に集中するのが難しいなどの問題を抱えています。

新しい校舎で勉強するのが待ちきれないマレンべジャの生徒たち

今回、3つの小学校に建設した各校舎には教室が2つずつあり、新たに約80人、3校で合計240人の生徒が、天候に左右されず集中して授業を受けられるようになりました。

校舎を建設にするにあたり住民の方々が資材を持ち寄り、1校舎に必要な3万個以のレンガを作りました。

また、建設作業員も各地域の住民から選出されました。このように建設作業に地域住民が参加することで、地域全体が学校の所有者としての意維を高め、持続的な維持管理につなげることができます。

校舎建設が進むなか、学校関係者から
「こんな美しい校舎が建つなんて想像もしていなかった。建物の質も良く、生徒の学習意欲もきっと上がるだろう」

「このような草木が生い茂る田舎で、立派な校舎が建つなんて、とても感動している。ソーラ発電による電気設備もあるので、子どもだけでなく、大人にも教育を提供できるような方法を考えていきたい」と嬉しいコメントが届いています。

地域住民も新しい校舎に感銘を受けすでに来年度の建設資材の収集も始まっています。

【学校開発委員会トレーニング】
子どもたちの学校教育に大切なのは、校舎だけではありません。安全で質の高い教育を提供し続けるための学校運営が必要です。

ジンバブエの学校は、校長や教員と地域住民で構成する学校開発委員会が運営に取り組んでいます。

ジンバブエ政府の教育予算が十分にない中、学校運営にかかる資金も、学校開発委員会が自分たちで確保していかなくてはいけません。

対象校3校の学校開発委員会は、資金調達や財務管理などの経験が少なく、地域のすべての子どもたちに教育を提供できるだけの学校運営をするのが難しい状況でした。

そこで、学校開発委員会メンバーを対象に、問題分析と課題解決に基づく運営計画づくりの手法、また財務管理のスキルなどについてトレーニングに取り組みました。

今後も、彼らが自分たちで作った計画を基に運営を改善していけるよう、支援を続けていきます。

政府担当者による財務トレーニング

【啓発活動】
学校の設備を整え、学校開発委員会による運営強化をしながら地域住民が子どもたちに教育を与えることの重要性を理解することが大切です。そこで、ADRAは各学校の学校開発委員会と協力して、様々な啓発活動に取り組みました。

一つは、昨年9月に行った、地域内の各家庭を回る戸別訪問です。

保護者に教育の重要性を伝えながら児童の家庭学習や卒業までの継続した通学を奨励しました。

また、学校に通っていない就学年齢の子どもがいる家庭には、子どもが学校に通うことによる長期的なメリットについて話し、子どもを学校に行かせるように説得しました。

戸別訪問で保護者にアンケートを行う様子。

戸別訪問の他には、昨年11月に生徒たちが地域住民に対し、教育の重要性を伝える啓発キャンペーンにも取り組んでいます。

イベント当日は、なぜ子どもが教育を得ることが大切なのか、また学校に通わないとどのような問題が起きるのかなど、生徒たちが歌や劇、詩の朗読などを通してわかりやすく伝えてくれました。

イベントでは周辺の学校も巻き込み、3校合計で450人以上の地域住民が参加しました。

キャンペーンの最後には、学年毎に成績優秀者の名前を呼び、全生徒の前で表彰しました。

自分の子どもの名前が呼ばれた際の保護者の嬉しそうな叫び声と、子どもの嬉し恥ずかしそうな顔がとても印象的でした。

また、来年の事業で開始予定だった特別教室の実施も、先生方や学校開発委員会の希望により、今年の1月から開始しました。

特別教室では、これまで様々な理由で学校に来ることができなかった子どもたちを受け入れ、同学年の児童たちと一緒に授業に参加し、放課後には補習授業を受けています。

この特別教室への参加を希望する児童が多くいたことは、これまでの戸別訪問や啓発キャンペーンを通して地域に教育の重要性が広まったことが、大きな理由と言えるだろうと嬉しく思います。

【今後に向けて】
ADRAはこれからも学校建設を続け、各3校にもう1棟(2教室)ずつ、また、先生方が教員室として使える職員棟の建設に取り組みます。

上記で紹介した啓発活動も継続しながら、新たに先生と保護者が児童の学習について話し合うことができる相談会なども行い、保護者、そして地域全体として学校教育を支えていくことができる環境を、学校開発員会のメンバーと協力しながら整備していきます。

ADRA Japanがジンバブエで活動を開始してから、今年で14年目になります。

これまで水衛生や学校教育を通してジンバブエの子どもたちに支援を届けることができてきたのは、私たちの活動を支えて下さる支援者の皆さまのおかげです。

皆さまの温かいご支援に心より感謝します。

啓発キャンペーンに参加した上田駐在員

(ジンバブエ事業 東京本部担当 馬渕 純子)

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