母乳育児週間

8月1日は「世界母乳の日」です。世界保健機関(World Health Organization:通称WHO)とユニセフ、世界30カ国の政府と複数の民間団体が共同で母乳育児の保護・推進・支援の必要性を発表したことを受けて、1990年8月1日に制定されました。

1992年からは毎年8月の第 1 週を「世界母乳育児週間」として、母乳で赤ちゃんを育てやすい社会になるようにとの願いを込めた活動を展開中です。世界中の母親への啓発のみならず、家族や医療機関、企業等に対して母乳育児への理解とサポートを呼びかけています。2024年のテーマは「格差をなくす : すべての人に母乳育児を支援する」です。

ADRAは、母乳育児週間が始まるにあたり、親になることの素晴らしい旅と親子の間で育まれる深い絆を称えます。母乳は赤ちゃんにとって理想的な栄養摂取ですが、授乳は単なる栄養補給ではありません。親子の愛を育み、母子の心身の発達や回復にも役立ちます。

WHOは、母乳育児を推進することで、5歳未満の子どもの死亡を劇的に減らすことができると試算しました。世界には、母乳で育てたくてもスムーズに母乳育児をスタートできない母親も多く、医療機関や地域・社会の理解と支えが必要となります。また、国によっては医療機関や医療従事者が不足しているケースもあります。

世界的に支援が必要とされている中で、ADRAは各地で、栄養指導や地域の保健スタッフの育成、医療設備の充実などの活動に取り組んでいます。

ネパールにおける女性保健ボランティアへの研修 ©ADRA

3人の子どもを育てているADRA Japanの女性スタッフは、自身の体験を重ねながら、母乳育児週間についてこう語りました。

「私の長男は、生まれてすぐにNICUに入院になりました。それで搾乳したお乳を毎日病院に届けることになったのですが、絞っても絞っても、母乳が一滴ずつしか出てこないのです。出ない乳を長時間絞り続けるのは、母親になった喜びまでもがしぼんでいくようで本当に辛かったです。

ところが2人目、3人目の育児の際、適切な情報と周りのサポートがあれば、お乳の出が劇的に変わることを、身をもって知りました。また、お乳が出ないときに無理をしなくてもよかったこともわかり、自分を責めすぎていたんだとあとから理解することができました。

今は3人とも健やかに成長しています。母乳についての正しい知識や理解が、社会に、そして世界に浸透すること、また、子どもを育てる幸せを感じながら、心身ともに健康に暮らせる親子が増えるよう、世界母乳育児週間がますます広まっていくことを願います」。

世界母乳育児週間をきっかけに、母乳育児をする親を支えるために皆さん一人ひとりにできることを、ぜひ考えてみてください。

例えば、職場内で、授乳用の専用スペースの整備を進めることや、柔軟な休憩の提供ができるように声をあげることも大きな力となります。社会全体として、公共の場で授乳する女性を尊重し、受け入れる文化を作ることも大切です。家庭内では、家族やパートナーが母乳育児への理解を深め、責任を分担し、母親の努力を認め励ます姿勢をもつことにも大きな意味があります。

ADRAは、今年も「母乳育児週間」が迎えられることに感謝します。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
目次