いつもあたたかいご支援をありがとうございます。
ADRAひまわりプロジェクトにご参加いただいた方のひまわりが、各地で花開いています! 先月中頃、「ADRA畑」のひまわりが、予定よりも早く見頃を迎えそうだと連絡があり、見に行ってきました。 圧巻のひまわり畑の様子をお伝えします!
場所は宮城県山元町の沿岸部。2011年の東日本大震災で最大12メートルの津波に襲われた地です。ひまわり畑の近くには、今は震災遺構となった中浜小学校があり、当時の津波の被害を伝えています。
宮城県山元町とADRAのつながりは、東日本大震災までさかのぼります。
震災により、山元町では人口の約4%もの命が失われ、4,440棟の家屋が被災。道路や駅、畑など、町のあらゆるものが破壊され、流されました。ADRAは震災当時から山元町の皆さまと深く関わり、炊き出し支援や漁業再開に向けた支援、コミュニティ形成支援などに取り組み、活動を担当しているスタッフにとっては第ニの故郷にもなっています。
ADRAひまわりプロジェクトは、ウクライナで平和が戻ることを待ち望んでいる方々に応援の気持ちを届けるために、日本で1万本のひまわりを咲かせようという企画です。期間中に1,000円以上のご寄付を頂いた方に、ひまわりの種を10~20粒お届けしました。自宅では育てる環境がない方や、育てるのが難しい方向けにはADRA畑を用意することにし、その協力を山元町に仰いだのが今年3月のことでした。
山元町では、津波の被害を受けた土地の力を取り戻すために、毎年ひまわりの作付けが行われており、花が咲いた後のひまわりは緑肥(りょくひ)として土地にすき込まれます。ひまわりが咲いた分、土地が農地としてよみがえっていくのです。まさに希望の畑と言えます。
町の担当の方が持つファイルには、毎年のひまわりの発育状況が細かく記録されており、次年度につなげられるよう工夫がなされていました。
ADRAひまわりプロジェクトには、497名の方がご参加くださり、そのうち約半数の方がADRA畑をご希望でした。山元町のひまわり畑にお預けした種は、18m×18mの広さの畑に相当する量で、山元町ではADRAの種がまかれた辺りを「ADRA畑」とし、看板を立て、成長を見守ってくださいました。
見学に行った日は、1年を通して過ごしやすいと言われている山元町でも厳しい暑さでしたが、たくさんの観光客や親子連れが訪れ、ひまわりの花を摘んだり、写真を撮ったりしていました。ひまわりの間を歩いていると、花粉を求めて飛び交うハチが多いことに気づきます。そこで、一人の女の子を思い出しました。ひまわりの種を入れるパッケージの絵を描いてくれたダイアナちゃんのことです。
ハチが飛び交うひまわりの間を歩きながら、ウクライナがまだ平和だった頃にダイアナちゃんが家族と見たひまわり畑は、こんな景色だったのかもしれないと感じました。
この日、ひまわり畑を案内してくださった宮城県山元町 商工観光交流課の桔梗様と佐藤様にもお話を伺ったので、ご紹介させていただきます。
宮城県山元町 商工観光交流課 課長 桔梗俊幸様
ADRAさんとはずっとご縁がありますね。震災当時は、被災者支援室の脇で仕事をしており、ADRA食堂も利用させていただきました。町議会でウクライナ募金の話になったときもADRAさんに預けようということになりました。ところ変わってもずっと縁があり、つながりがあると感じています。震災当時は本当に助かりました。ボランティアを受け入れた経験がない中で、抱えていた業務を引き受けていただいたり、食事を作っていただいたりしたことをよく覚えています。ひまわりであれば毎年やっています。ウクライナともつないでいただけるのもありがたいので、また何かあればぜひ声をかけてください。
宮城県山元町 商工観光交流課
商工振興班長兼観光交流推進班長 佐藤 仁様
5月頃、ウクライナ出身の方で関西の大学に通っていたという方が、山元町の無料のレンタサイクルを借りに来られたことがありました。その方に、夏になったらADRAの支援のひまわりも咲くんですよ~とお話をさせていただいたら、とても喜んでおられました。関わりを持つことができ感謝しています。震災当時は混乱もあって、支援に来てくれた皆さんへの対応もきちんとできていなかったのではないかということが、実は今も気にかかっています。それでもこうして、ご縁がずっとつながっていて、本当にありがたく思っています。
ADRAひまわりプロジェクトにご協力をいただき、毎日のようにひまわりの様子を確認し、平和への想いや希望が伝わる景色を作り上げてくださいましたこと、心より感謝申し上げます。そして当時からずっと、町の復興にご尽力されておられますことに尊敬の思いでいっぱいです。
震災で被災した山元町も、人々の希望がつながり続けることで、平穏な生活を取り戻しつつあります。山元町が立ち直ったように、今戦争で傷ついているウクライナもきっと復興する日が来ます。この地でひまわり畑に立つことで、その希望を感じることができました。
山元町にADRA畑のひまわりをお願いできたご縁をこれからも大切にし、ウクライナの方々にも支援と希望を届け続けてまいります。応援いただいた皆さま、ありがとうございました!