子どもたちは私たちの花〜涙の感謝を受け取って

温かいご支援をありがとうございます。
今回は、ウクライナ支援でスロバキアに駐在しているスタッフからの報告をご紹介いたします。

雨予報だったが、朝起きたら晴れ間がさしていた。きっと、彼女たちの日ごろの行いがいいんだなと思いながら、会場へと足を運んだ。

6月1日。ウクライナのこどもの日だ。

スロバキアに来たウクライナ避難民の子どもたちは、母国でしていたはずの経験ができていない。戦争によって傷ついた心と、友達と離れたことによる孤立感。そんな子どもたちが少しでも楽しめ、自国の文化に触れる機会を設けたい。

強い想いを持ったADRAスタッフ兼ウクライナ避難民である女性たちが、スロバキア東部のケジュマロクにあるADRA避難支援センターで、イベントを企画した。

「子どもたちは私たちの花」が同イベントのスローガンである。彼女たちの子どもたちを想う気持ちが伝わってくる。

午前11時前になると、受付には人だかりができていた。あまりの人数のために、急遽レーンを増加するほどの賑わいだった。

子どもたちは受付で、画用紙でできた円形の花の雌しべとなる部分をもらう。5つのブースに分かれた活動を完了するたびに花びらを受け取り、最後は花を完成させるというスタンプラリー形式のレクリエーションだ。

子どもも大人も花の髪飾りを付け楽しむ様子(ケジュマロク 2024.06.01)

松ぼっくりや枝を使った“自分のペット”作り。花やウクライナ国旗などを顔に描くフェイスペイント。ピンクや青の花で飾られた背景の前で写真を撮るフォトブース。年齢に合わせて複数問作られたクイズ。円になり、指示と反対に身体を動かす旗上げゲームのようなもの。途中で子どもたちによる劇や歌の披露もあった。

最初は、恥ずかしがって一緒にダンスしなかった子どもたち。しかし、時間が経つにつれ心がほぐれたのか、閉会前には子どもも大人も踊るようになっていた。

私が驚いたのは、このイベントに3歳から高校生ぐらいまで、年齢問わず皆が参加していたことだ。中高生には物足りず、景品のハリーポッターのぬいぐるみも喜ばないのではないかと心配していた。しかし、皆積極的に参加し、楽しんでいる様子が見られた。

子どもたちからのオーダーに従ってフェイスペイントしている(ケジュマロク・2024.06.01)

子どもたちが景品を受け取り、各々帰宅の途につき始めるころ、小雨が降り始めた。イベントに参加していた、長身に髭面の男性が近づいてきた。言葉を探しながら、片言の英語で一生懸命話しかけてくれた。

「ありがとう。子どもたちが笑顔になって嬉しい」

くせ毛の中年女性も、私のもとに来て抱擁しながら、ウクライナ語で何度も感謝の言葉を述べた。彼女の眼は潤んでいた。それを見て、私の中でも熱い感情が沸きあがってきた。

しかし、同時に違和感があった。

私は何もしていない。スロバキア駐在員になって3週間の新米職員である。現場の様子を見たいという想いだけで片道4時間の電車に乗り、イベントの具体的な概要も前日に知った程度で、当日も写真を撮っていただけだ。

そのような私が、ウクライナ避難民の方から感謝されるのはおかしい。今回の企画のために本当に頑張ったのは、運営してくれたADRAスタッフやボランティアの女性たちである。また、この活動ができるよう支えてくれた日本とスロバキアの支援者のみなさんだ。涙しながら感謝を述べるべき相手は私ではなく、彼女たちや支援者の方たちだ。

現場を知った今、ただ支援を届けるだけでなく、私なりにできることを模索していきたい。その一歩として、ここに綴っている。支援者の方と彼女たちスタッフやウクライナ避難民の方たちを橋渡しすることは、私にとって重要な仕事の一つであると感じているから。

最後まで、お読みいただきありがとうございます。このような支援に取り組めるのも皆様からのご寄付があってこそです。心から感謝申し上げます。

引き続き、温かいご支援をよろしくお願いいたします。

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