5月28日、ウクライナのリヴィウで、ADRAは心理学者や教師と共に、ウクライナの方々の心理状態を回復することを目的としたイベントを催しました。現在、同国において最も問題となっている点を改善しようという試みです。
このイベントには24家族(合計約60人)が参加しました。ほとんどがロシアとの戦争により家を追われ、避難民となった人々です。
ある親子は、イベント内に設けられた3つのブースを訪れました。最初の場所では、スポーツゲームやリレーなどが行われ、2番目の場所では、折り紙などの工作に取り組み、3番目の場所では、物語療法と呼ばれる現代ウクライナ語のクラスが開催されました。
ADRAウクライナの一員である心理学者、カテリーナ・ジンチャク氏も参加し、心理療法の要素を巧みに織り込みながら物語を紡ぎました。ADRAは、出席者がウクライナ語を学ぶだけでなく、治療効果のある「夢に関するおとぎ話」を生み出せるよう、働きかけました。
6月5日にもADRAは、心理学者のユリア・ザルツカヤ氏を招き、「感情の対処法」をテーマに研修を開催しています。これには、戦争により心に傷を抱えた4名が出席しました。
その顔ぶれは、戦火から逃れた女性、若い俳優、キックボクシングの世界チャンピオン、軍人だった夫をこの戦争で亡くし、10代の少年を女手一つで育てている方でした。
出席者は、自分の感情と他の人々の経験をより良く理解することを学び、生きた心の動きの原則も理解しました。また、人とのコミュニケーションを改善させるための「ボディ・ノッド・モデル」を取り入れ、精神と身体の関連性をベースにした演習も体験しました。
この研修により、参加した4人は体と心のバランスを調和させることができたとの感想を、後日ビデオで共有しています。
戦争によって負った心の傷が、簡単に治癒しないことは百も承知です。それでも、私たちは一人ひとりに寄り添う支援活動を続けて参ります。今後も、皆様の温かいご支援をどうかよろしくお願い申し上げます。