ウクライナでは国民の約2人に1人は、自分たち家族のための農業用地を持っていると言われています。
しかしながら、今年の冬は、厳しい気候と戦況も手伝い、2023年の冬は昨年の冬と比較しても、食料安全保障の指標が10%以上も落ちると見込まれ食料確保もより厳しくなっています。
特に戦争の最前線の地域では、支援に入ることのできるNGOも少なく、空襲があれば地元の行政でさえ支援物資を届けることができなくなる状況です。
ADRAは、これまでウクライナ国内で命をつなぐ物資支援や越冬支援など16の部門で、支援活動を実施してきました。
現在も食料・衛生用品の支援物資配付に取り組んでおり、現地チームは支援の届きにくい地域を中心に、最も厳しい環境に身を置く人々に支援を届けています。
現金給付の活動では、現地行政や国連機関などと調整を行いながら、12月頭にはドニプロの国内避難民260人に現金を給付することができました。
こちらはウクライナ国内の支援団体との調整の下、一人当たり3か月分の収入に当たる約44,000円を支給しています。今後は、さらに約780人へ現金給付の支援を届けます。
また、現金を支給されても、戦況下でマーケットがないエリアや障がいや高齢などの理由から買い物ができない人々がいます。そのような方々を中心に、物資による支援も実施し、12月初旬には、隣国スロバキアで食料・衛生用品の調達とパッキングが完了した人道物資支援キット計1,320箱をウクライナへ輸送しました。
ウクライナ人道危機が始まって以来、ADRA Japanはスロバキア支部・ウクライナ支部と共に、人道支援物資を届ける活動を続けていますが、それだけではなく、一人ひとりの必要に応じた支援が届くような工夫も続けています。
例えば、栄養価の高い食料品を調達するだけではなく、物資支援以外のニーズにもこたえられるよう、保護や心のケア支援などを必要とする人々が相談できるように、サポート専用のコールセンター情報が書かれた、リーフレットなども同封しています。
この物資支援は、2024年も継続し、現在のところ更に約7,900人に届ける予定です。
このような活動に取り組めるのも皆さまからのご支援のおかげです。
心から感謝申しあげます。
引き続き温かいご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。
※この活動は皆さまからの温かいご寄付と、(特活)ジャパン・プラットフォームの助成金を受けて実施しております。
(執筆:ウクライナ支援担当 高橋 睦美)