ウクライナ危機が深刻かしてから1年半以上が経ちます。ウクライナ国内にいる人々はもちろん、隣国に避難している人々も避難生活が長期化する中、経済的にも精神的にも負担が増しています。
ADRA Japanは、ウクライナ国内をはじめ近隣諸国でも支援を行っています。中でも隣国スロバキアでは、ウクライナ避難民の方々へ、物資支援、現金給付、心のケアなどさまざまな支援を行っています。このブログでは、ADRA Japanが運営を支援しているスロバキア北東部の地方都市ケジュマロクにある避難民ヘルプセンターの様子をご報告します。
このセンターでは、日々スロバキア語研修、お茶会、子どもを対象にしたアクティビティクラスなど、さまざまな活動を行っており、400人以上の避難民がこのセンターを利用しています。
この日、食料を受け取りに来たヒオルヒーさんにお話を伺うことができました。 戦争開始直後に避難を始めたヒオルヒーさんは、病気の奥さんと一緒にいくつかの避難先を転々とした後、1年ほど前にこのケジュマロクにたどり着いたそうです。
ケジュマロクにあるADRAのこの避難民ヘルプセンターが大好きだというヒオルヒーさん。週に何度もお茶を飲みに来たり、さまざまなイベントにも頻繁に参加したりしているとのこと。最近はセンターで開催されたコンサートで楽しい時間を過ごすことができたそうです。
このセンターが好きな理由を伺ってみたところで、笑顔でこのように答えてくださいました。
「今日のような物資支援ももちろんですが、このセンターに来ると気持ちが明るくなるんだ。祖国の友達もたくさんできて、来るたびに楽しい時間を過ごすことができる。」
また、初めてセンターを見た時、入口にあった「ADRA Japan」の文字を見て、なぜウクライナから遥か遠いジャパン(日本)がこんなところにいるのかと不思議に思ったそうです。その後、このセンターでの活動は日本の支援で行われていることを知り、驚いたとか。
「日本のみなさんに心から感謝します。」
とのお言葉をいただきました。
この日、食料を受け取りにいらした方の中には障がいを抱えている方、また家族に障がい者がいる方も多くいらっしゃいました。
リウドゥミラさんも障がいをもったお子さんを抱えるお母さんです。これまで、ウクライナ避難民の方々にはスロバキア政府から家賃補助が出ていましたが、この冬でその支援が終わると言われています。リウドゥミラさんは障がい者のお子さんがいるため定職に就くのが難しく、旦那さん不在の中、収入がほとんどありません。家賃補助がなくなる冬以降の生活をとても心配されていました。
スロバキアはこれから、気持ちも落ち込みがちな暗い冬に向かいます。同時に生活も苦しくなり、経済的にも精神的にもより包括的な支援が必要とされます。
遥か遠いジャパンからの支援だからこそ、ウクライナの方々の気持ちを明るくすることができると思っています。これからも、ウクライナの方一人ひとりに寄り添い、私たちだからこそできること、するべきことを模索しながら活動を続けていきます。
この活動は支援者の皆さまからお預かりした寄付金と、(特活)ジャパン・プラットフォームによる助成金とで実施しています。皆さまの温かいご支援に、心より感謝申し上げます。
(執筆:ウクライナ事業担当 馬渕 純子)