二十歳の青年|スロバキア出張記#3

みなさんこんにちは、ADRAの永井温子です。

7日間のスロバキア出張記、第3日目をお届けします。この日は、ブラチスラバから電車で約1時間の場所にあるトレンチンという町を訪れました。

トレンチンでは以前から、ウクライナ国内に送る物資の箱詰めなど、ウクライナから避難されている方と一緒にしている場所で、この日も、子どもたちのためのクリスマスギフトのパッキングを予定していました。

日本の皆さんに折っていただいた折り紙の「パタパタはと」も、個包装を終え、準備万端です。

パッキング作業が始まるのは、学校などが終わってからの夕方16時。15時を過ぎた頃からだんだんと人が集まり始め、時計が16時をまわるころには、部屋にあふれそうなほどの方が、ボランティアとして集まってくれました。

小学生や、10代~20代の学生も多く、集まってくれた大人の中には、作業に入らず見守っている方もいます。一緒にやりませんかと声をかけると、「子どもたちがうれしそうにしているから、やらせてあげたいの」というお返事でした。

流れ作業の列に並びながら子ども同士じゃれあう様子や、ギフトバックに入れるプレゼントの感触を楽しむ様子を見ているうちに、結局わたしも、ひとつもパックしないまま、200個のパッキングが終わりました。

複数の参加者の方とお話をすることができたのですが、今回は二十歳のバレリー君の話をご紹介させてください。

「自分はドニプロから避難してきた。6年前にギターに出会った自分のために、父が奮発して新品を買ってくれたんだ。僕は中古でいいって言ったんだけど。そのギターをもって最初はトルコに避難して、ギターを教わりたい生徒を探して生活をした。スロバキアに移動してきたのは、友達に会いたくなったから。昼間は建設現場で働いて、夜はお店でギターを弾いたり、生徒に教えたりしている。将来がどうなるか、ただ不安だったこともあるけれど、今は楽しいよ。自分で生きていけているから。

ここへきて、10代の子たちと接すると、目標を失ってしまっていると感じる。急に避難してきて、何をどうしたらいいかわからなくなるのは当然だよね。だからこのセンターで、こうやって誰かのために集まって作業できることは、彼らのためになっているんだ。自分も誰かの役に立てるって思えることはとても大切なことだから。このセンターでは、彼らのことを導いていける。だからものすごく感謝している。」

背の高い彼は、私と話がしやすいように、ずっと背中をかがめていてくれました。深い思いやりと洞察は、きっと苦しい生活の中で新品のギターを買い与えたお父様ゆずりです。このセンターに集まっているティーンエイジャー達にとっても、彼の存在はとても心強いだろうと感じました。

さて明日は、また場所が変わります。今度は電車で片道5時間いったケジュマロクでのお話です。この出張中は、毎日たくさんの感情が動き、消化しきれない思いでしたが、このようにつづる中で、一つひとつを整理できています。

明日のブログでは、ケジュマロクのセンターの運営を支えてきたウクライナ人スタッフの話を紹介します。

ぜひ明日もお付き合いいただけたらうれしいです。それでは!

ADRA Japan  永井温子

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