こんにちは、ADRAの永井温子です。
7日間のスロバキア出張記、第2日目をお届けします。今回は、スロバキアの首都ブラチスラバのショッピングモールの一角で運営されている避難民センターを訪れた際のお話です。
モールの広場には、高さ5~6メートルはあるかと思われるクリスマスツリーが飾られ、ワゴンには、クリスマス時期だけの特別な蜜蠟キャンドルが所せましと並べられていました。
避難民センターは、エレベーターを上がって少し進んだ2階にありました。センター開設から、もう7回も引っ越しをしていて、最初の頃から比べると狭くなり、人の数も減ったと話されていましたが、この日、私たちがいる間は人の往来がひっきりなしでした。
子どもの冬用のズボンを選んでいく女性や、料理器具を手に取る方もいます。赤いニット帽をかぶった男の子は、帽子と同じ赤い色の消防自動車のおもちゃを抱え、今すぐにでも遊びだしたそうでした。
その和やかな雰囲気の中、私はウクライナ人ボランティアさんの目から、突然涙がこぼれるのを目にします。隣で一緒に会話をしていた、言語のわかる同僚の言葉を待つと、彼女は言葉を選びながら、女性の故郷が砲撃で壊滅的な被害を受けたことを教えてくれました。「誰かと過ごしている間は気がまぎれる」と笑って続けた女性の涙は、その瞬間まで抑えていた心の痛みの一部だったのかもしれません。
私自身も、一瞬で涙があふれてしまう時期を経験したことがあります。父を亡くしてから半年ほどは、思い出した瞬間に突然出てくる大粒の涙を止めることはできませんでした。悲しみの深さは本人にしかわからないものだと思いますが、それほどまでの悲しみを抱えながら、普段は笑顔で過ごしているのだと思うと、いつか彼女が心からの笑顔を取り戻せるまで、できることがあればしたいと願わずにはいられませんでした。
次回の配信では、ブラチスラバから電車で1時間ほどのトレンチンという町のセンターで、クリスマスギフトのパッキングをした日のことをお届けします。強い感銘を受けた、二十歳の青年との出会いをご紹介しますので、ぜひお読みいただければ幸いです。
それでは、また明日お会いしましょう。
お読みいただき、ありがとうございました!
永井温子