様々な理由で学校に通えなくなった子どもたちに教育を 【シリアでの教育支援】

私たちADRAは、世界各国において、教育の重要性を説き続けています。

どんな状況におかれても、次世代の子どもたちが、学ぶ場所を確保できるように努めてきました。

それは、地震や洪水などの自然災害によって被災地となってしまった地域でも、ミサイルが飛び交う紛争地帯でも同じです。

学習こそが、子どもたちや大人たちの未来を輝かせると信じているからです。

今回はシリアにおける教育支援をご紹介いたします。

2023年9月ADRAの代表がシリアに足を運んだ際に撮影 撮影:ダマスカス郊外 9月

シリアでは以前、初等教育をほぼ100%近くの子どもたちが受けることができ、教育機関は大学まで無料で教育レベルも高い国でした。

しかし、紛争により約30%の子どもたちが初等教育を受けることができなくなり、中等教育に至っては約50%の子どもたちが教育を受けることができなくなりました。

紛争に加え、今年2月の地震による被災もあり、教育を満足に受けることができない子どもたちが、さらに増えています。

英語の補修クラス 撮影:ダマスカス郊外 10月

ADRAは、様々な事情で学校に通えていない子どもたちが、再び学校に通い、勉強が再開できるように、教育支援活動を実施しています。

まずは、2023年9月3日よりADRAは、シリアにおいて学校に通うことができなくなった子どもたちに対する教育プログラムを開始しました。

9校に合計で42クラスを設け、男女合わせて620名の児童に補修授業を施しています。

私たちが目指すものは、彼らに読み書きや計算の基礎を学ばせ、正規の学校教育に復帰させることです。

アレッポの学校におけるアラビア語の基礎クラス 撮影:2023年9月

ADRAは、現地の教育機関と密に連携し、子どもたちに合った計画を立てたうえで、接しています。

そして、教育の重要性と子どもたちが学校に戻ることの利点を、個別に説いています。

私たちは継続して学校訪問を行い、なんらかの理由で教育を続けることができなくなった子どもの可能性についても校長と話し合いました。

また、カウンセラーも保護者と面会し、親のサポートがいかに重要であるか、そして、子どもたちの成長の妨げとなる潜在的な障害について聞き取りをしています。

当初は学校に戻ることを拒否していた児童たちに対しては、カウンセラーが面談し、子どもが学校に戻ることを妨げている、根本的な理由を明らかにしたうえで、子どもへのサポートと関係する人々への指導を提供し、あらゆる方向から子どもたちが復学しやすいように取り組んでいます。

2023年9月、シリア各地で催されている補習授業 撮影:ダマスカス郊外 9月

また、シリアの首都であるダマスカス、アレッポ、ラタキアの計8校で、50クラスを開講し、1232名の児童に対して、基礎知識を身に付けるための補修授業を行っています。

一方で、アレッポの母子家庭で育った18歳の女性には金銭的な援助を行い、彼女が9年生向け(日本でいうところの中学3年生)の国家試験を受けられるよう、計いました。

震災で家族を失った、学校に通えなくなったーーなど、様々な課題を克服し、子どもたちの未来が少しでも明るいものとなることを願いながら、引き続き寄り添った支援を実施していきます。

ADRAは、今後も教育支援活動を続けますが、まだまだ十分ではありません。

今後も、皆さまからの温かいご支援をお待ちしております。

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