目玉の価値

町には“それ”が溢れている。

服やカバン、ビルの屋上、はたまたスマートフォンの裏にも描かれている。

私たちは特に意識していなくても、見ただけでそれがどこの企業が作った物か知っている。

ロゴには力がある。

製造メーカーとしての認知だけではなく、新たな価値を生み出すことができる。

そして、身に着けている場所によってその力は増す。

サッカースタジアムで、アディダスのスパイクを履いていたら、何だか足が速そうに見えるし、

ガラス張りのカフェで、コーヒーを片手にアップルのノートパソコンを触っていたらスマートな印象を持つ。

繁華街で、バレンシアガと大きく書かれたシャツを着ていたら、お金持ちに見えるし、

工事現場でマキタの工具を使っていたら、しっかり仕事をしてくれそうな印象を持つ。

ロゴという物は、身に着けている人の印象を大きく変える事ができる。

緑色をした楕円形の中で3人が手をつないでいる。

毎日の様に見るそれは、私達の中で常識となっていた。

しかし、世間ではどうだろうか。

これがアドラのマークだと知っている方は少ないはずだ。

そして、どのような活動をしている団体なのかも知らないだろう。

この業界では多くの団体が、自分たちのロゴを持っていて、多種多様な活動をしている。

しかし、ほとんどは知られていない。

国連やWHOといった最大手であれば、ご存知の方も多いだろう。

ほとんどの団体は、どれだけ有効な活動をしたとしても、自分達で発信をしなければ誰も取り上げない。

被災した地域以外で覚られる事がない。

そんな世界なのだ。

実際に、昨年発災した能登地震では、アドラのマークや活動はまったく認知されていなかった。

初めて会う方には、どのような団体か懇切丁寧に説明する。

子ども達には、「目玉みたい」と言われる事もあった。

しかし、毎週活動していく内に少しずつ覚えてもらえるようになり、今ではロゴを見ただけで、

「アドラさん、また来てくれたの」と声をかけてもらえるようになった。決して多い人数ではないが少しずつ意味を持ち始めている。

ロゴには力がある。

団体としての認知だけではなく、それ以上の価値を生み出す事ができる。

被災した地域において、見ただけで安心を与える。

その様な意味を持つ日まで、アドラは活動を続けていく。

(国内事業担当:三牧晋之介)

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