【クリスマスに考える】イエス・キリストも難民だった?

12月に入ると、ショッピングモールや住宅街、街路樹などがイルミネーションで彩られます。そうです、クリスマスシーズンがやってきました。光が奏でる旋律を子どもも大人もワクワクしながら眺めています。

お店によっては、イエス・キリスト降誕のジオラマが置いてあり、中央の飼い葉おけに眠る生まれたての幼子、その周りを父親と母親、羊飼い、博士、馬やひつじなどが囲み、礼拝している有名なシーンを見ることができます。

クリスマスの由来をご存じの方は、このような場面までは聞いたことがあるかと思います。ですが、その先の物語はご存じでしょうか?

聖書によると、天使が父親であるヨセフに、「ヘロデ王が幼子(イエス・キリスト)を殺そうとしているから、エジプトに逃げるように」と告げ、両親は子どもを連れて、急いでエジプトに逃げ、子どもの命を守った記録があります。つまり、ヨセフ達は今でいう難民や避難民など、故郷を追われた人たちになったのでした。

地図アプリを使ってみますと、イエスが生まれたベツレヘムからエジプトのカイロまで約700キロ、徒歩で約1か月の行程と表記されます。現代のように便利なスーパーもコンビニもない中、食べ物や飲み水をどうするか、宿をどうするか、心配で夜も眠れず、幾度も困難に直面したでしょう。しかも、幼い子どもを抱えての避難です。母親として、マリアさんは気が気でなかったのではないかと思います。

今も、世界では1億人以上の人が自分の故郷を追われています。現代の「ヨセフとマリア」である彼らは、支援があることで、なんとか生き延びることができている状態です。ADRAでもウクライナやレバノン、ミャンマーにおいて、食料や水の配付、心のケア、現金給付、避難移動の支援など、各国のニーズに合わせた支援を行っています。そして、このような支援ができているのは、皆さまからの温かいご寄付のおかげなのです。

ウクライナで支援を受けたある女性は、次のような思いを直接伝えてくれました。「日本の皆さんからの支援に心から感謝いたします。私は故郷を離れ、避難生活をしています。私たちに一番大切なのは生き続けること、生きるための食べ物です。本当は家に帰りたいです。でも自分の地域は占領されて帰ることができません。今はウクライナ国内の比較的安全な地域に住んでいますが、ここの人たちはとても親切で、心を落ち着かせて暮らすことができています。想いを寄せてくださる世界中の方々に本当に感謝いたします」。

エジプトに難民として逃げて行ったイエス・キリストと両親。彼らが厳しい旅を生き延びることができたのは、馬小屋に来た博士たちの贈り物があったからと言われています。最初のクリスマスは、サンタクロースからプレゼントをもらう日ではなく、与える日だったのです。

今日もまた、戦争や災害で家を失い、寒さから身を守る手段を持たない方々にも、同じように「生き延びるための支援」が必要とされています。今年のクリスマス、私たちも博士のように、困難な状況にいる方々に贈り物を届ける存在になりませんか? 温かいご支援をお待ちしています。

(執筆:コミュニケーションチーム 石橋和博)

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