2011年にスーダンから分離独立した国、「南スーダン共和国」をご存じですか?
現在、国連が独立承認した中で一番新しい国です。
この南スーダン共和国では独立に至るまで、アフリカ大陸で最長とされるほど長い紛争が繰り広げられてきました。
多くの人々は近隣国で避難生活を送り、子どもたちは祖国を知らずに生まれ育ちました。
2005年、南部の自治権を認める包括和平合意が結ばれ、ついに平和が戻り、人々が祖国に帰還を始めました。
アドラ・ジャパンは、この2005年より南スーダンにスタッフを派遣し、人々の故郷での生活再開を助ける働きに関わってきました。
少しずつ平和再建プロセスを歩み始めた南スーダンでしたが、度重なる内戦を繰り返してきた地域とあり平和へのプロセスは平たんなものではありませんでした。
2013年、各地で戦闘が発生してしまい内戦再燃の危機が高まりました。
危険を避けるために、多くの国民が国内の比較的安全な地域に設置された避難所や国外の難民キャンプへの避難を余儀なくされました。
この情勢の悪化に伴い、アドラ・ジャパンの支援も2014年から南スーダン国外からの支援活動に切り替えることになり、エチオピアにある南スーダン難民キャンプにて現在に至るまで支援活動を続けています。
再び、人々は平和を待ち望んでいます。
さて、先月、この南スーダンから壊滅的な洪水被害のニュースが入ってきました。
国連人道問題調整事務所(OCHA)はこの大規模な豪雨により、南スーダンでは数十人が死亡。約100万人が避難し、コミュニティ全体が水没していると伝えています。
アドラは、南スーダン支部を中心に洪水の被害を受けた村々を現地で調査し、壊滅的な洪水の被害を受けた数十万人の家族、
子ども、個人を支援するため準備を進めています。
調査に入ったアドラの緊急対応プログラムのマネージャーであるビリー・アンドレは、
「多くの道路が通行不能になり、滑走路が浸水するなど、必要物資を届けるのが非常に困難な状況です。
しかし、アドラのチームは現状をよく把握するよう努め、ニーズが高いにもかかわらず現在支援の届いていない地域を特定することを急いでいます。
私たちは、地元政府や信頼できるパートナーと協力し、緊急支援の方法を模索しています。
過去3年間、大規模な洪水がこの国に大被害を与えてきましたが、今シーズンはすでにその規模を超えています」
と述べています。
人々は食べ物もなければ、何かを栽培するための土地もありません。
川の氾濫で家族と離れ離れになってしまっている子どもたちもいるという情報もあります。
保健当局は、マラリア、精神的トラウマ、不安の増加や、ヘビにかまれる被害の増加を報告しています。
地元当局も、衛生設備の欠如が原因で水源が汚染され、水系疾患が増加していると警告しています。
南スーダンでは今後、水害被災者支援として、避難所の設置や水の配給、水浄化タブレットの支援、病気・感染症の予防、教育の場が失われてしまった子どもたちの支援が必要になると考えています。
まだまだ不安定な南スーダン共和国ですが、現地と連携し、できる限りの支援を届けていきたいと考えています。
どうぞ、温かいご支援をよろしくお願いいたします。
(文責:広報担当 永井温子)