
いつも温かいご支援をありがとうございます。
ADRA Japanは、昨年に引き続き穴水町、七尾市、輪島市での活動を継続しております。今回は、穴水町で行われている在宅調査に関するご報告です。
穴水町では、能登半島地震から1年が経過し、在宅で過ごされている方々の状況を把握するため、町と社会福祉協議会(以下、社協)、民生委員が在宅調査を実施しており、NPO・大学などが協力をして、2025年2月から一軒一軒お宅を訪問しています。

現在の世帯人数や家屋の修理状況、水道やガスの使用可否、体調や精神的な面だけではなく、罹災証明書の提出状況や各種支援・義援金の受け取りについてなど、様々な観点から現在の生活状況についてヒアリングを行います。
今後も地震の被害にあった家屋へ住むには、どうしても修理費などのお金が必要になります。そこで大事なのが、罹災証明書です。この書類は、自宅が災害の被害を受け、その被害度合いを証明する事ができる書面で、被災者支援制度を利用する際に必要となる大事な書類なのです。申請しなかった場合、判定区分によっては受け取れる支援が数百万円相当変わってくることもあります。
しかし、震災から1年経過した現在でも、申請をされていない方、その様な支援や手続きがあるという事を全く知らない方、申請方法がわからないのでそのまま放置してしまっている方も中にはいるのです。実際に、今までの調査でも複数人、そのような状況におかれている方が見つかっており、社協の働きかけにより支援へと繋げる事ができました。

穴水町社協の事務所前は、朝から賑やかでした。訪問調査の準備やオリエンテーションを行うため、いつもより多くの方が出入りしていたためです。
この日は、ADRAからスタッフを数名派遣して、大学生や地元の民生委員、他のNPOスタッフと一緒に調査を行います。学生の中には、初めて災害ボランティアに参加する方もおり、どこか緊張した面持ちです。
「はい、今日はどこから来たの?そんな遠い所から気の毒に。うちはね、息子がそういうの(申請)やってくれてるから大丈夫。屋根の修理も終わったしね。ありがとうね」
「全然工事する業者が見つからなかったわ。来るまで長かったわー。まだ直したい所もあるけど、時間かかるってだめやいね。とりあえず、生活ができるようになったのは良かったわ」
「この前振り込まれとったわ。もう年金暮らしやさかい、少しでももらえると助かるわ。うちは解体して、新しく建てた。年だから。ここを出ても行くとこがないわ。ずっとここにおったしな」
住民の皆さまにとって顔なじみのある民生委員と訪問したお陰で、私達のような外部の人間にも、思いの丈を吐き出してくださいます。

穴水町での在宅調査は、まだ始まったばかりです。訪問していない地域の中には、問題を抱えていて困っている方、相談する事が出来ず一人で悩んでいる方がまだまだ残っているかもしれません。困難な状況に置かれている方が解決への一歩を進めるために、ADRA Japanは穴水町在宅調査のサポートを続けてまいります。
皆さまからの温かいご支援の下、本活動を継続することができております。
心より感謝申し上げます。

(執筆:国内事業課 三牧晋之介)