いつも温かい応援をありがとうございます。ネパールに駐在するADRAスタッフが、現地で抱く想いを書きました。ぜひお読みください。
私は、栄養士の資格を持ち、ADRAに入職した。ネパール駐在員として丸1年、現地の教育・保健・水衛生・緊急支援に関わっているのだが、どうも自分の関心が、「栄養」に偏ってしまう。だって仕方がない。それが私の強みなのだから。
ネパールの首都カトマンズから2時間半車を走らせて訪れた学校は、鼻水を垂らした3歳児から思春期の高校生までが、一つの敷地内で教育を受けていた。ネパールの田舎では、このスタイルは一般的で、子どもの年齢に合わせた配慮はない。
2023年度、ADRA Japanは「ナマステ基金」としての学資支援を計7校で、67人の選抜された生徒に対して行った。
しかし、そのマンモス校には、何百人もの生徒が在校している。色褪せた制服や穴の開いた靴を身につけ、擦り切れた衣服からは、か細い腕と足が走る度に見え隠れする。
私はここに来ると、いつも学校の教師陣に「生徒たちはごはんをきちんと食べているのか」と聞いてしまう。
校長先生は言った。
「この学校は政府によって運営されているから、幼稚園からグレード5(小学5年生程度)までの生徒にだけ、1日15~20ルピー(16~22円)の給食代が支給される。もちろんそれだけでは足りず、学校の運営資金を持ち出すこともあるんだよ。本当に苦しいし、これ以上どうすることもできない。」
現地価格の15ルピーは、子どもの手のひらサイズのクッキーが購入できる程の金額で、育ち盛りの彼らの栄養摂取量には遠く及ばない。
実際に給食として出される献立は、薄く塗ったジャムを挟んだ小さな食パン、セモリナ粉に油と砂糖を混ぜて練った軽食など、炭水化物が9割を占める、一時的に舌を潤すだけのレシピだ。
生徒たちは、それに加えて水を飲んでお腹を膨らませていた。
私は、現場を訪れる度に、「栄養たっぷりな給食を提供できる術はないのか」と思っていた。栄養士、そしてADRA Japanのスタッフとして、何か行動に移さなければ変わらない。
学校給食は、ネパールの栄養分野における課題の、ほんの一例でしかない。乳幼児から高齢者のライフステージ別では、身体の成長と変化に適応した栄養摂取が必要だが、まだまだ問題は山積みなのだ。まずは、この事実をADRA Japanから発信し、一人でも多くの人に知ってもらうことが第一歩となる。
近い将来、ネパールの学校で生徒たちが「給食を食べて、おなかいっぱいだ」と言っている光景を見られることを願いながら、彼らの笑顔に会いに行く。
執筆:ネパール事業担当 渡辺 陽菜
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