ネパール西部のバルディヤ郡は、ネパールの中でも人々が安心して利用できる水を手に入れるのが難しい地域です。住民達には、他の選択肢が無いためこれらの水を使って生活していました。
調べてみると、複数の村で住民が利用する飲料水の水源となる川や井戸水は大腸菌に汚染されており、乾季には水不足になる地域も多くありました。
そこでADRAは、途上国でも管理しやすい浄水装置を製造・設置するヤマハ発動機株式会社様のご協力も得ながら、住民の方々とともに、水衛生環境の改善に取り組んでいます。
2023年から活動してきたダケラ村では、近くに川があり、年間を通して水量の確保はできるものの水は汚染されており、水に起因する病気も見られていました。そこで、村の人々と話し合いながら、ヤマハ発動機株式会社様の太陽光発電付き浄水装置「ヤマハクリーンウォーターシステム(YCW)」の設置を進めてきました。
自治体は、この設置を進めるための物品保管庫の建設を担当し、村を直接管轄する区は取水地の護岸工事を請け負い、村の住民からは設置場所となる土地が提供されました。また装置が適切に使われるよう、村の水衛生委員会のトレーニングにも取り組んできました。
装置は2024年2月に設置が完了し、2月27日に引き渡し式が行われました。当日は約100人もの自治体関係者や住民が足を運び、ネパール国内の新聞やオンラインニュースにも大きく取り上げられました。
ニュース:Mission Today National Daily (https://fb.watch/qvT0qRlT7T/?mibextid=v7YzmG)
新聞:बारबर्दियामा नविन प्रविधिको शुद्ध खानेपानी आपूर्ति प्रणालीको स्थापना (faraksamachar.com)
浄水装置を通した水は、水質検査の結果、ネパールの飲料水水質基準値を満たしていることが確認されました。そして引き渡し式の当日、住民は初めて浄化されたきれいな水を口にしました。
子どもや高齢者含め多くの住民からは「おいしい水が私たちの村に来て嬉しい!」という声が聞こえてきました。自治体長からも「この浄水装置は、地域住民の健康増進に貢献する」と感謝の気持ちが述べられ、区長は「これから長きに渡り、日本からいただいたきれいな水を飲んでいきましょう」と住民に呼びかけました。
今後はダケラ村の水衛生委員会が中心となり、浄水装置の運用や管理を行い、安心な水を使用していくことになります。ADRAは引き続き、持続可能なシステムを自分たちで考え、体制を作っていこうとする人々に寄り添いながら、定期的なモニタリングや委員会のミーティングに参加し、彼らと歩幅を合わせて一歩一歩前に進んでまいります。
ダケラ村の、安心して飲めるきれいな水が村全体そして近隣の村々にも広がり、「この水は大丈夫!」と笑顔で水を飲める人が増えることを願っています。