ネパールで起きた豪雨災害

ネパールでは2024年9月26日から3日間降り続いた雨により、全国で洪水と土砂崩れが発生し、複数の河川が氾濫しました。特に9月26日と27日に記録された降雨量は、ネパール史上最大のものでした。

通常、ネパールの雨季は6月中旬から9月下旬まで続きますが、今年はラニーニャ現象の影響で例年を上回る降雨が観測されました。特に南西からのモンスーンがもたらした豪雨が首都カトマンズの渓谷や近隣の南部地域を襲いました。

この壊滅的な災害により、224人もの尊い命が奪われ、道路、橋、公共建物、医療施設などに甚大な被害がおよびました。最も被害が大きかったのは、首都カトマンズ近郊のカブレパランチョーク郡、ラリトプル郡とインド国境に近いシンドゥリ郡で、少なくとも50の地区が洪水に襲われました。カトマンズ西側のダディン郡では、地滑りにより少なくとも3台の車が埋まり、35人の命が失われるという悲劇も起きています。

ADRA Japanは、1996年よりカブレパランチョーク郡で経済的に貧しい家庭の子どもたちに学資支援を届けていますが、子どもたちが通う学校の状況も確認しました。

シュリー・ヒマラヤ校、シュリー・サラスワティ校、シュリー・ブラマヤニ校では、幸いなことに児童・生徒、学校への被害はありませんでした。

シュリー・シャラダ校では、校舎南側で小規模の地滑りが発生しました。

シュリー・シャンケシュウォール・マハラクシ校でも同様に、小規模の地滑りが2か所確認されています。

最も大きな被害を受けたのは、シュリー・ジャナタ校です。

児童・生徒に怪我はありませんでしたが、校舎裏側とトイレ付近で土砂崩れが発生し、泥が2つの教室に流れ込みました。またこの地域では、さらなる土砂崩れの危険も大きく、60世帯ほどが一時的に避難しました。

そして痛ましいことに、ADRAオーストラリアが支援していた生徒の一人とその兄弟が、土砂崩れにより家を失い、命を落としました。とても悲しく残念なことで言葉がありません。

まだ悲しみが深い中ではありますが、こうした災害は、子どもたちの教育機会に大きく影響を与えます。数年前にも新型コロナウイルスによって子どもたちが教育を受ける機会を奪われました。これ以上何も起こらないことを願わずにはいられません。ADRAはこれからも、現地のスタッフと緊密に連絡を取り合いながら、子どもたちを見守ってまいります。

ネパールは10月、一年で最大のお祭り「ダサイン」を迎えました。今年は心から楽しめる時間にはならなかったかもしれませんが、ネパールの方々が古くから大切にしているこのお祭りが、少しでも人々の心に希望を灯したことを願っています。

一日も早いネパールの復興を祈ります。

(執筆:ネパール・スポンサーシップ担当)

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