バングラデシュ出張記 #2「ダッカの白い空」

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前回に引き続き、バングラデシュに渡航しているスタッフから届いた出張記をお届けします。

バングラデシュ到着後、空港からホテルまでの道中、迎えに来てくれた同国支部事務局長が「バングラデシュのことは少し勉強してきた?」と切り出してきた。真夜中のダッカ市内は、聞いていたような渋滞はないが、遠くからクラクションの音がかすかに聞こえてくる。

話題は大気汚染に移り、事務局長は「工場や車の排気ガスだけが汚染の原因じゃないんだよ。バングラデシュは国全体で、土壌が砂などきめ細かくて石材がほとんど取れない。建設に使う石材などは、レンガを作って、それを壊して用途に応じた粒の大きさの資材を作る。その時に発生する粉塵も大気汚染の原因になっているんだ」と続けた 。

夜の暗闇で大気汚染を目で確認することはできなかったが、湿気と相まって、空気は重く感じられた。

翌朝ホテルから事務所に行く車から空を見て驚いた。果てしなく白かった。翌日もその翌日も空が白かった。事業地訪問のため、ダッカ市内から50kmほどのマニクガンジの町に移動したが、空の色は変わらなかった。「ここで生まれ育った子供たちは空が青いということを知っているのだろうか…」そんな疑問が頭をよぎった。日本にもかつてこんな時代があったのだろう。だが、こんな空が当たり前になってしまった人々が自分たちの子どもの将来についてどう考えているのか、知りたい…そう感じる自分がいた。

週末、宿泊先近辺を歩いてみた。10月半ばの昼間のダッカは気温こそ30度程度だが、湿度と車からの熱気で15分ほど歩くと、汗でTシャツが体に張り付いた。途中、湖を横切ったが、水は濁りゴミが浮かんでいた。汚水の匂いが鼻を突く。その横には、高級ホテルや高層ビジネスビル、外国人が出入りする高級スーパーマーケットが並ぶ。私が宿泊するために現地支部が手配してくれた宿も、外国人が多い洒落た地区にあり、自分こそその開発の恩恵を受けている人間の一人だった。

ダッカ市が整備した近所の公園にたどり着いて、青々として木々に囲まれた時、ほっとする自分がいた。この国の開発が進む先には何があるのか。NGOの私たちが国の成長にできる貢献は小さいかもしれない。しかし、「開発の先を考える」ということは、私たちにとって決して他人事ではないのだと強く思い出させられるダッカ滞在1週目だった。

(執筆:髙橋睦美)

最後までお読みいただきありがとうございました!

次回のバングラデシュ出張記も、楽しみにお待ちください。

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