レバノンにクリスマスは存在しない?

「中東にはクリスマスが存在しないんでしょう」。中東に関わっていると、そんな言葉を耳にします。

本当でしょうか。レバノンを見てみましょう。

あまり知られていませんが、中東は、キリスト教が発祥した地であり、聖書もこの地域が舞台です。そのうえ、実はレバノン人口の約45%がキリスト教徒とされています。人々にとってクリスマスは、日本で言うお正月のように、家族が集う大切な行事です。プレゼント交換をしたり、クリスマスの食事、甘いお菓子を食べたり、久しぶりに家族の面々が揃い、近況報告に花を咲かせる日でもあります。

毎年、レバノンの市街地はクリスマスカラーに染まります。特に首都ベイルートでは、ツリー点灯式、華やかに飾られた外照、リボンなどの装飾が街に溢れ、そこにはなんとクリスマスマーケットまであります。冬は寒く、雪も降ります。

レバノンの公用語はフランス語とアラビア語です。フランス語でクリスマスは「Noël(ノエル)」、こちらは聞いたことがありますね。

アラビア語でクリスマスは、「عيد الميلاد(イード・アルミラード)」と言います。因みに、誕生日は「عيد ميلاد(イード・ミラード)」です。似ていますね。

この「ال(アル)」は、定冠詞で「The」です。つまり、アラビア語では、クリスマスは、みんなが知っている特定の人物(イエス・キリスト)の生誕の日という意味です。

クリスマスの単語がしっかり現地語であるように、レバノン以外のアラブ諸国も、程度の差はありますがこの日を祝います。キリスト教徒でない人々の中にも、日本のようにツリーを飾ったり、プレゼントを渡したりして季節の行事を楽しむ人もいます。

しかし、今年は残念ながら、例年のように人々がクリスマスを祝うことはできません。

2024年10月以降、レバノンでの戦闘は激しさを増しました。2,710人が亡くなり、12,592人以上が負傷し、130万人が国内で避難生活を強いられています。

同月30日には、世界遺産登録もされているバールベック市にて、避難警報が発令され、直ちに10万人が避難することになりました。市全体が避難対象となったのは初の事例で、警報後1時間後には、完全にゴーストタウンになりました。同月28日の時点で、この地の住民25万人(街の人口60%相当)が既に街を去り、他の地域に逃れていたのです。

避難先のキャンプの様子、9月26日撮影

レバノン行政によると、避難民のうち、52%が女性、32%が15歳未満の子ども、8%が高齢者、4%が障害者です。戦争により、離れ離れになってしまった家族も多くいます。

このままの状況が続くと、レバノンにサンタがやってくるのは厳しいでしょう。 しかし、私たちが、サンタクロースのように、避難生活を送る人々、子どもたち、家族に食事、衛生用品、必要な生活物資、安心して寝る環境を届けることはできます。

クリスマスに、レバノンの人々の心が少しでも温かくなる支援を届けられるよう、ADRAの活動にお力添えください。

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