2023年6月2日から3日の昼過ぎにかけて、西日本から関東を襲った台風2号。
茨城県取手市では1時間に40ミリを超える激しい雨に見舞われ、土砂崩れ、倒木、道路の崩落、住宅の浸水被害などが発生しました。
特におよそ1,100の家屋が立ち並ぶ双葉地区では、床上浸水が436棟、同床下が166棟と甚大な被害をもたらしました。
ADRA Japanは発災直後から双葉地区に入って支援活動を続けてきました。
8月末までは、ほぼ毎日、現地を訪れ、被害に遭われたお宅の掃除の手伝いや、お粥パック、ゼリー、レトルトの味噌汁や大豆でできたハンバーグ、野菜ジュース、粉末スープの詰め合わせ、飲料水のボトル、そして泥水などの拭き取り掃除用に雑巾を配付しました。
受け取りに来ることが難しい方には、こちらが軽トラックを運転して各家庭にお届けもしました。
この頃、現地でADRAが活動の拠点としていたのが地域の自治会館でした。
食料の配付場所としても使用したり、住民の人に少しでも一息入れる時間を持って頂こうと、お茶会を設ける場所としても活用しました。
その後、自治会館が普段の業務ができるように、8月に場所を移動し、新拠点の場所「つなぐ」を復興活動の拠点としました。双葉地区の皆さんに知って頂くべく、フリーマーケットを催し、寄付して頂いたお米でカレーライスを提供するという試みや足湯、ボランティアの鍼灸師さんをお招きして鍼も実施しました。
「つなぐ」に移動しても、お茶会を続けており、今でも毎週木曜日になると、双葉地区の方々がお茶会に寄ってくださいます。
ADRAは、東日本大震災の復興支援時から、被災された方への支援の一環として足湯に力を注いでいます。
足湯は、ADRAが国内災害の被災者の方々を対象に心身の疲れや不安を少しでも解消するために取り組んでいます。
この足湯をきっかけに、お一人おひとりが抱えている困りごとの支援につながることも多いため、大切にしている活動です。
そこで、双葉地区では、6月に1度、7月に4度、8月に2度、9月以降の3か月間は月に1度、足湯を行いました。
双葉地区に通い詰めているADRAスタッフは言います。
「文字通り足をお湯に浸かって頂きますが、私たちスタッフが触れるのは被災された方の上腕から指の先です。
一人、10分から15分程度、一本一本の指、掌なども心を込めて丁寧にさすり、揉みます。
その折、被災の内容には触れず『今日はいいお天気ですね』とか『寒いですね』とか『お昼ご飯は食べましたか』などと、他愛もない会話をすることを心掛けています。
そうすることで、目の前の方にとっての『話したいこと』のきっかけになったり、ちょっとした要望なども汲み取ることができるんですよ」
続けて、この半年間を振り返って語りました。
「発災した直後である6月の足湯では、皆さんがとても疲弊していました。もちろん人にもよりますが、9月、10月になって少し、元気になられた方が増えたかな…という印象を受けました。
また、床上浸水の被害で『もう店を閉めるか』と言っていたお店も営業を再開したんですよ。僕が近くを通りかかったら、お客さんたちの話し声も聞こえ、少しずつ復興してきた風景が見えてきました。ですが、多くの方はまだ復興半ばで、まだまだ寄り添う支援が必要です」
災害からの復興には時間がかかります。引き続きADRAは双葉地区の復興に向けて、寄り添った支援活動に取り組んでまいります。