9月に上陸した台風15号は、静岡県をはじめとする東海地方に甚大な被害をもたらしました。
アドラが支援に入っている静岡県袋井市では、床上浸水104棟、床下浸水152棟(12月5日現在、参照:静岡県)の被害が出ています。
浸水の被害にあったお宅は、以前のように生活できる住環境を取り戻すために、室内や床下の泥出し、洗浄、乾燥、消毒などの作業が必要になります。
しかし、水害発生から2か月以上が経っても、復旧作業に時間がかかり、それらの工程を終えられていないお宅もありました。
また、元の生活に戻れない状態が長引いていることで、一部の住民の方には疲れが見受けられました。
心身の疲れや不安を少しでも解消するため、11月2日、袋井南部地域包括支援センターさん方と一緒に高南地区で「相談会&足湯」を開催しました。
当日は11月とは思えないほど暖かく、徒歩でいらしたお母さん方も「こんなの着ていて暑いわ」と、部屋に入るなりすぐに上着を脱がれる姿もありました。
暖かい日でも足湯は快適で、足をお湯につけると「あ~気持ちがいいね。さっきも片付けしてたの。いいね。」と、頬を緩めていらっしゃいました。
今回は弁護士さんと建築士さんの相談スペースも設けていたので、真っすぐに相談スペースに行かれる方も。
お金のことや、家の乾燥具合など、個別の心配事を真剣に相談されていました。
専門家の方が実際にお家を見た方が良いと判断し、住民の方も希望した場合には、その場ですぐに一緒に歩いてご自宅へ!というケースも。
悩みごとが即、解決に繋がっていき、住民の方が抱えていた心のもやもやも解消される相談会となりました。
相談を担当した弁護士さんからは、「いろいろな地域に行きますが今日は地域密着型だな~!」と感心の声もあがっていました。
実はこの地域が「地域密着型」なのは、災害が起こる前から、地域の確かな関係ができていたことに由来します。
自治会長が地域の方々に積極的に声をかけ、住民同士が日ごろから頻繁に会話をすることで、コミュニティの絆をつくっておられました。
高南地区、コミュニティの力があるなぁと思います。
まさに、地域の見本のような場所でした。
あるとき、廃品回収日の決められた時間にゴミ置き場を通りかかると、ぞくぞくと住民の方々が集まってきました。
ゴミを置きに来るついでに立ち話をする住民の方が多いこと多いこと、驚きました。
また、地元の方に連れて行っていただいた地域の食堂「あえるもん」。
地域の方がボランティアで運営している食堂なのですが、年配の方からお子さんを連れたお母さんまで、お昼時は満席!
わいわいお話されている様子に感動しました。
その日の担当の住民の方が考える献立で作られたご飯も、ホッとするお味でとても美味しかったです。
地元の方に聞くと、高南地区の皆さんは日ごろから顔と顔が見える関係ができている、ということでした。
袋井市の中では被災世帯数が多かったのですが、発災直後にひどい混乱が見られなかったのは、地域の密な関係と、浸水後の自治会長の迅速で細やかな対応、袋井南部地域包括支援センターさんなど、地元に寄り添ったお仕事をされている存在があったからこそだと感じました。
復旧復興はあくまでも住民の方が主体で、ADRAはそのサポートする存在であればと思っています。
この活動には、Yahoo!ネット募金にたちあげている
「令和4年台風15号で被災した
静岡県袋井市の方に寄り添う支援を」
https://bit.ly/3CY1xQS
にお寄せいただいたご寄付を大切に活用しております。
引き続き、皆さまからの温かいご支援を、よろしくお願いいたします。
(執筆:国内事業課 三原千佳)