ADRA Japanスタッフが活動地で感じた6月の色

「June Bride(ジューンブライド)」という言葉は、「6月の花嫁/結婚」を意味します。古くからヨーロッパでは、Juneに結婚すると幸せになれると伝えられてきました。

ADRAは、世界中の人々が少しでも幸福を感じられることを祈りながら活動していますが、今回、何名かのスタッフに「自身が担当する活動の6月のイメージ」を色で語ってもらいました。

ネパールの田植え風景

最近、ネパールから一時帰国したメンバーは振り返ります。

 「ネパールは四季ならぬ六季に分かれており、6月は雨期の始まりで、毎日空模様を気にしながら過ごす季節です。

突然のスコールも1日に数回あり、月の3分の2は雨が降っています。6月のネパールの降水量は、東京の2倍と言われており、河川が増加し、ゴミと混じった茶色い水が流れるんですね。

 ですから当地の色は、湿った土色をイメージします。

ネパールの主要産業は農業であり、農業人口は国民の約9割に上ります。農村にとって6月は一番忙しい時期となり、家族や集落の人々と水牛が集って、泥だらけになりながら田植えを行います。

降り注ぐ雨のなか、田んぼの泥に足を半分埋めながら、毎日を過ごすんです。ネパール人はそんな暮らしを楽しみ、全身泥んこになりながら、笑顔で仕事をこなします。

ADRAは 西ネパールのバルディヤ郡で、水衛生にも取り組んでおり、昨年12月にはヤマハ発動機との共同事業として浄水装置をダケラ村に設置しました。この地域には河川や地下水などの水源があるものの、大腸菌が含まれており、WHO飲料水水質基準を満たしていませんでした。

今回導入した浄水装置で浄化された水は、1日8,000リットルの配水が可能で、ダケラ村の住民に不足なく行き渡るようになりました。

浄水装置の運営は、現地の水衛生委員会メンバー11人で行われ、彼らが永続的に浄水装置を自分たちのものとして大切に管理してくれることを願っています。住民たちにはこの安心して口にできる水の必要性を認識してもらい、次の世代まで受け継いでくれることを希望します。」

浄化した水を手にするネパールの人々

ジンバブエに赴任していたスタッフも言いました。

「色で表現するなら黄土色でしょうか。土の色です。冬であり、乾季です。砂漠になったんじゃないかと思うほど、川が干上がってしまうんですよ。雨期になれば川には水が溢れるほどになるのですが。

6月は最高気温が21℃、最低で9℃ですが、乾季のため太陽が出ている日中は暖かいです。ですが、夜になると肌寒く、ジャケットを着ることもあります。

当初は、こんなにも草木が無くなってしまうんだと驚きました。11月の雨、つまり水を待ち望む、耐え忍ぶ時期ですね。ゼロではありませんが、極端に雨が減ってしまうんです。」

干上がった川の底を掘って飲み水を得るジンバブエの少女

アフガニスタン担当者も話しました。

「国のほぼ中央にあるバーミヤンで、舗装されていない道の端に紫や黄色の小さな花が咲いていた光景を思い出します。

当地では6月になると新緑が芽吹きます。極寒の地において、温かくなってきたなという季節ですね。

冬はマイナス20℃以下になる国ですから。個人的にはマイナス28℃で過ごしたこともありますよ。ジャガイモも栽培するので、ツルのイメージもあるかな。

イメージは茶色です。離陸時、着陸時に飛行機から見ても、土と埃の茶色が目に飛び込んできます。

ご存知のように、アフガニスタンは40年も戦火に見舞われていますから、外務省からの許可が下りず、もう10年も訪れていません……。

道端の花を目にすれば、『静かな日々があるな』、子供の姿を見ると『落ち着いた状況』を感じます。

やはり子供は未来に繋がるので、希望を見ますよ。この子たちのためにも、出来ることを続けていこうと思います。」

ADRA Japanのスタッフがアフガニスタンを訪れることができなくなって早、10年…

私たちが選んだ色を、セラピストの田林綱紀さんに解説してもらいました。

 「ネパールの土色は重苦しさが漂うようなものではなく、どこか落ち着きを覚える心地よさと安心感、温かみがある暖色の赤の混ざった赤黒さが見えているように思います。

ジンバブエの黄土色は、彩度が薄く、ある種の虚無感を覚えているのかもしれません。肩肘張らずに、息をゆっくり長く吐くように気持ちを休ませ、意欲を未来に繋げることができるといいですね。

一方、アフガニスタンでは植物が芽吹き色付き始める時期ですね。茶色のイメージを抱くとしても、明るい赤を含むような高い明度や彩度を含み、力が満ち溢れる感覚を味わうような印象を受けます。」

皆様が笑顔で6月を過ごされることを、ADRAスタッフ一同祈念しております。

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