「生きるために必要なものは水や空気や食べ物だけではありません。共に生きる人が必要なんです。」避難生活を続けるウクライナ人女性トニャさんからのメッセージ

去る8月24日、ウクライナの人道危機が深刻化してから1年半が経過しました。

ご支援者の方から「戦争は嫌なのに、だんだん慣れてきてしまっている。このままでいいのか。何かしたい」という声が届くようになったこともあり、今一度、平和を考え、行動するきっかけとして、オンラインのイベント「ウクライナの方とZOOMでつながる夏の夜~星に願いをかけるなら」を企画し、開催しました。

ウクライナ国内外合わせて延べ900万人以上に支援を届けてきました。

パンの配付を手伝う現地のボランティア

そしてメインパートでは、自らもウクライナからの避難者でありながら、ADRAが運営を支援しているスロバキアのウクライナ避難民支援センターで働くトニャさんを迎え、ご自身が体験してきたこと、活動を通じて感じていること、これからの願いなど、スロバキアに駐在しているADRA Japanスタッフの通訳を介して、ライブでお伺いしました。

ウクライナから脱出するまでの長い道のりの中では、爆撃を受けた車や建物、亡くなった方の遺体など、子どもたちの目に触れさせたくなかったものが多くあったこと、今暮らしている町や生活のこと、子どもたちの様子などをお話してくださいました。

また、トニャさんが働いている支援センターが閉鎖の危機にあったとき、8歳の男の子が毎日たずねてきて、センターの再開を心待ちにしていたことや、その行動の背景にある、「家」と呼べる場所を失ってしまった子どもにとって、無条件に自分を受け入れてくれる人がいる場所がどれだけ求められているかなどをお話いただきました。

イベントには、65人の方がオンライン参加してくださり、「トニャさんからのお話の中で、最初に行われた支援は、子どもたちのための図書館だった。食糧より先に図書館は用意されたことには驚きました。物資よりも人々とのつながりが必要だと言うのも納得しました。」 また、「避難している方々がご飯と同じくらいコミュニティを求めていることが印象深かった」など避難民の方々にとって人と人のつながりが何よりも大切にしているといったお話を聞いて、人が生きていくために、互いに支えあう重要性に気づかされたといったご感想を多くお寄せいただきました。

このイベントでお話することは、実はトニャさんにとっては簡単なことではありませんでした。辛かった体験をもう一度思い出さなければなりませんし、人に伝えるということは、同じ経験をもう一度するのと同じくらい、感情が動くものだからです。

それでもトニャさんは、このイベントにはぜひ参加をしたい、自分の口で伝えたいと、参加を前向きにとらえ、打ち合わせにも何度も参加してくれました。

最後、トニャさんにイベントに参加した感想と星への願いを訪ねたとき、トニャさんはまず日本語で「ありがとう」と言ってくれました。そして、「こうして日本の方とつながり、あたらしい友人を見つけられたことに感謝しています。ウクライナの未来、そして子どもたちの未来が良くなりますようにと心から願いたいです」と話してくれました。

イベントの中で、「私たちは、生きるためには水や空気や食べ物が必要だと思っています。けれど実は、私たちには、ともに生きる人も必要なんです。水や空気と同じくらいに。」そう話していたトニャさんからの「新しい友人を見つけられた」という言葉には、通訳をしていたスタッフの高橋も、涙を抑えることができませんでした。

ウクライナの方の平和を想い、イベントに参加してくださり、この時間を一緒に過ごしてくださった皆さまに心から感謝申し上げます。

(執筆:広報担当)

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