ジンバブエ:ソーラーランタンで広がる児童と女性の可能性【アースデイ】

ADRAでは現在、ジンバブエの首都ハラレから車で6時間以上離れた、ザンビアとの国境近く、ニャミニャミ地区で学校建設をサポートしている。電気も食べ物も少ない荒野で学校…となると、多くの課題が挙がるが、そんな中でも日本の支援でニャミニャミの人々は勇気づけられている。

その一つが、ソーラーランタンの配布である。

これは日本のパナソニックホールディングス株式会社の多大なるご支援により実現できた。子どもたちの家は電灯が限られ、勉強どころではない…そんな課題を解決しようと、地区の中学生にソーラー充電できるランタンを配付した。家庭の事情や授業料が払えずに、学校に毎日通えなかった児童たちもいた。そんな児童たちが、夜に勉強する時間を得られるようになり、家族の人たちも、転倒するリスクが減少するなど、効果はテキメンであった。

この取り組みにより、学校に通えない子どもたちも大きく夢を膨らませ、将来は医者や教師になりたいという希望を語るようになった。

パナソニックホールディングス株式会社からご寄贈いただいたソーラーランタンで自習する児童

さらにニャミニャミ地区は発送電設備も満足ではなく、十分な明かりの中での授業が難しかった。そこで新しく建てた校舎にはソーラーパネルを設置し、太陽の力で教室に明かりが灯るようになった。

 

事業前の授業の光景
ソーラーパネルを設置した校舎
日本の支援で完成した校舎で学ぶ児童
学校給食の様子

また、学校建設の現場では女性たちの雇用が積極的に進められている。教室や職員室が少しずつ形になっていくにつれ、彼女たちの目の輝きも日に日に増していく。それまで「自分たちには無理かも」と思っていた仕事をやり遂げたことで、男にしかできないと思っていた仕事も「今なら私たちにもできる」と自信につながっている。

その姿は周りの女性たちにも影響し、仕事を通じて協力し合い、仲間意識や支え合いの輪が広がり、彼女たちは社会とのつながりを感じられるようになった。そして今では、現場で得た知識や技術を活かして、自分たちの手でビジネスを始めようという夢まで描いている。

ここでレンガを持った手は、今では自分の人生をつかむ手となった。

レンガ成型に従事する女性
男性に交じってレンガ成型を作業する女性

さらに以下の写真は、3人の子供を育てるお母さん。以前は家族の食料を手に入れるために庭の水やりなど非正規の仕事で毎日をつないでいた。しかしADRA事業の倉庫番が募集された時、彼女は熱心に応募し、男性と競いながらも最終選考に残り、面接を受け見事に合格した。

2024年7月1日から仕事をスタートした彼女は、倉庫番として懸命に働き、今ではその収入で子どもたちの学費や家族の食料をしっかり支えている。子どもの卒業試験に向けた追加授業料も、自分の力で工面した。彼女自身もコツコツと学習を続け「もっといい暮らしをしたい」「子どもたちに明るい未来を見せたい」という強い気持ちを持っている。

ジンバブエの中でもニャミニャミ地区は首都から遠く、日本から支援が来る前、子どもたちは野外のいわば青空教室で授業を受けていた。しかし、この学校建設プロジェクトをきっかけに、多くの村の大人が動き、未来を担う子どもたちのために力を合わせている。

女性をはじめ大人たちの熱意が、一つひとつのレンガに込められ、そのレンガを積み重ねで校舎が出来ていく。アフリカの透き通る空に映るはじける笑顔には、未来への希望が確かに刻まれていた。

執筆:山田 貴禎

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