2024年4月3日、台湾東部海域を震源とするマグニチュード7.2の地震が発生しました。
4月23日未明にもM6を超える地震が2回起きており、未だに予断を許さない状況です。
震源地に近い花蓮県ではこの震災で13名の死者、1,146名の負傷者が報告されています。
また、多くの家屋やマンション、ビル、ホテルなどに被害をもたらし、1,247の棟が使用に関して危険の疑いがある、と認定されました。
その1,247の建物のすべては、専門家によって調査されます。
5月2日時点での花蓮県政府の発表によると、赤紙が貼られた67棟が主要構造部や基礎の損傷で、取り壊す必要があると判断されています。
黄色紙が貼られた64棟は、しっかりと補強修繕が実施され、専門家による調査で問題がなければ使用許可とされますが、それまでは住むことができません。
こうした影響で1,921世帯が住む場所を失っています。
4月18日から26日まで台湾に入り、現地で調査と支援活動の調整に動いていたスタッフは、次のように語りました。
「18日の午後8時ごろに花蓮駅に到着したのですが、駅を出て驚きました。
倒壊しているビルはなく、ホテルやビルの明かりがあちこちから見え、車やバイクを運転する人、お店を開いて商いをする人、屋台を開いて食事を提供する人など、何事もなかったかのように生活している人々の姿が目に入ったからです。
本当にあの大きな地震があったのかと思いました。
到着した次の日には、最初の地震で建物が傾いたことで、テレビや新聞で有名になった天王星ビルまで足を運びました。
現場は作業の終盤を迎えており、ショベルカーやトラックを使った瓦礫の撤去作業が行われていました。
それが2日後には独特なオイルの臭いと共に、新しいアスファルトで舗装された更地になっていました」
一呼吸置くと、彼は深刻な面持ちで続けました。
「それは、天王星ビルなど存在せず「地震はなかったんだよ」と思わせてしまうかのような風景でした。
目の前の光景は、支援を必要としている人たちが、もういないかのように錯覚を起こさせ、被災者のなかでも特に弱い立場の人の顔が見えなくなっているのではないかという危機感を覚えました。
実物ではなく、テレビや写真、インターネットで動画や写真を見た人が、『こんなに復興が早いのなら、もう大丈夫だろう』と、浅はかな考えをしてしまう危険があります。
現に、日本でも台湾地震のニュースはほとんど聞かれなくなりました
パートナー団体が運営している避難所では住む場所を奪われた人が、今も約30人身を寄せ合っています。他に行くあてがないのです。
観光業で成り立っている花蓮では、500人以上が職を失いました。震災直後、80%の人が花蓮での観光をキャンセルしたからです。
問題がなさそうな家でも、地震の揺れで屋根に取り付けてあった水タンクや、リビングにあるテレビが落ちて壊れるなど、外からでは見えない被害があります。
災害が起こると、いつも子どもたちや寡婦の方、障がいを持っている方、安定した職に就けていない方、高齢者など、社会的弱者が置き去りにされてしまいます。
弱い立場にある人にとって、この地震の余波はじわじわと未来が見えない不安と恐れを覚えさせ、彼らの精神と肉体を苦しめています」
ADRAでは、弱い立場にある方々が置き去りにされないよう、一人ひとりに寄り添い、必要な支援を届けていきます。
2011年の東日本大震災、今年の能登半島地震でも、支援活動に取り組んだ当初ADRA Japanに届いたご寄付の半数以上が台湾からでした。
ADRAは、台湾で復興に取り残される人々の生活再建に向け一人ひとりに寄り添う支援を行なってまいります。
皆さまの温かいご支援をよろしくお願いいたします。
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