東日本大震災から13年。新しく広がるつながり。

2011年3月11日に発生した東日本大震災から13年。

あの日は都心でも公共機関が運転見合わせになり、道路は渋滞した車であふれかえり、金曜日ということもあって、首都圏に住む多くの人たちが徒歩で家へ帰ろうとしていました。

ADRA Japanは、事務所がある建物の一部を解放し、帰宅困難者の方への情報提供、トイレや休憩場所の提供、おにぎりの配布などを翌日の朝まで行いました。

翌日の12日には支援物資を車に乗せてスタッフが宮城県へ向かい、県内の高齢者福祉施設への物資支援や避難所での炊き出し、山元町における長期間の炊き出し、仮設住宅への食器や布団、掃除道具などの配付、離れ離れになってしまった住民が集まれる場所の設置を行いました。

福島県内では、仮設住宅への食器や布団などの物資支援提供の他、原発によって避難を余儀なくされた高校生が自分を見失わないよう、将来に向けての人材育成支援などを行いました。

あれから13年。

一緒に活動をしてきた現地の方々とは、今でも繋がりをもたせていただいています。

今回は、山元町の方々との繋がりから生まれた活動についてお話します。

皆さんもご存じの通り、今年の1月1日、能登半島地震が発生しました。その数日後、山元町社会福祉協議会より「私たちも何かできることはないか考えています」とご連絡をいただきました。

被災した経験があり、大変さを知っているからこそ、このような思いやりのあるご連絡をいただけたことをとても嬉しく思いました。

山元町の方々の心を胸に、私たちは現地の調査に赴き、石川県内の避難所を回りながらお話を聞いていると、新鮮な野菜や果物が不足していることが分かりました。避難されている方の食事は炭水化物やカップ麺などと偏りがちで、便秘になっている方も多くいらっしゃる状態でした。

ある避難所では、朝食用の果物を求めていらっしゃいました。そのような状況を山元町社会福祉協議会にお伝えしたところ、検討してくださり、りんごを送ってくださることになりました。

山元町のりんごは蜜がたっぷり入っていて、甘くてとても美味しいです。私自身もそれを知っているので、自信をもってお届けできると思いました。

送っていただいた蜜がたっぷり入ったりんご
箱には手作りのメッセージが貼られていました

りんごの入った段ボールには、「東日本大震災被災地 宮城県山元町から、能登半島地震被災地 石川県七尾市へ。りんご食ってけさいん。いぎなりんめぇんだどぉ。」という言葉がありました。

また、箱の中には1枚紙で応援のメッセージを入れてくださっていました。

「一人じゃない。みんながついています。」

「気持ちや辛さが分かります。お体にお気をつけて。」

などが書かれており、想いを込めて送ってくださったことに胸が熱くなりました。

箱の中には心温まる応援メッセージが

山元町内のりんご農家さんのご協力もあり、合計15箱とたくさんのりんごを送っていただきました。送っていただいたりんごは、ADRAスタッフが5か所の避難所にお渡しし、避難所に避難されている方の他、ご自宅で避難生活を送られている方々にも食べていただき、大変喜んでいただけました。

「りんご、とても美味しかった!」という声を多数いただいております。

山元町の皆さん、本当にありがとうございました。

また、昨年のことになりますが、山元町にある子育て支援センター「夢ふうせん」さんは、水害に備えてお母さん方で縫ってくださった雑巾を送ってくださいました。

ADRAでは「ちくちくボランティア」という、古タオルを縫って雑巾にし、送っていただくボランティアを募集していましたが、夢ふうせんさんには特別に案内はしていなかったにも関わらず、ご自身で調べて縫っていただいたのです。

夢ふうせんさんが送ってくださった雑巾

被災経験がなくても、被災地を心配し、何かできることはないかと考えたり、実行したりする方々もとてもたくさんいらっしゃいます。今回の能登半島地震発生に伴い、たくさんのご寄付や問い合わせ、ボランティアの応募があることからも多くの方からの思いやりを実感しております。

と同時に、山元町からいただいた、どちらのご支援にも、「今度は自分たちが力になりたい」「困った時はお互い様」という想いが感じられ、被災を経験している方々だからこそ、どこかで災害が起きるとその地域の方の状況を想像し、今何が必要かを考えることができ、行動に移すことができるのだと思います。

私は東日本大震災を機に宮城県山元町に駐在し、これまで現地の方々とたくさん対話をさせていただきました。

そして今、確かに支援の輪が広がり、少しずつ、でも着実に繋がりができていくことを何よりも嬉しく感じます。

東日本大震災から13年が経ちますが、これからもこのような繋がりを大切にしていきたいと思います。

(執筆:国内事業課 三原千佳)

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
目次