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今日は、家屋建設と共に行った防災・減災研修についてご報告します。
「災害に立ち向かう自信がつきました。」
そう話してくれたのは、ADRAが実施した防災研修に参加したバーランです。彼はヘラート県の国家災害管理局(ANDMA :Afghanistan National Disaster Management Authority)職員ですが、今までこのような研修に参加したことがありませんでした。
同じくANDMA職員であるアブドゥル・サラームも、「自然災害の現実を目の当たりにし、災害管理スキルを向上させるための実践的なツールを学ぶことができました」と話しました。
ヘラート県は、昨年発生したような大規模地震も起きるし、洪水や地滑りの危険性も高い地域です。それにも関わらず、住民はおろか災害対応に関わる地方行政職員すら、防災教育を受ける機会に恵まれずに、ここまで来た現実があります。
災害には、日々の備えと心構え、そして発災時の迅速な対応が重要です。そこでADRAは、地震の被害を受けたヘラート県の6つの村それぞれにおいて、5人で構成される防災減災委員会と30人のメンバーで構成される初動対応チームを結成し、防災研修を実施しました。防災減災委員会は、コミュニティ内での防災知識の普及を、初動対応チームは、災害発生時の人命救助や救急手当を担当します。研修にはANDMAをはじめとした地方行政職員も併せて参加しました。
女性の社会参画が難しい現在のアフガニスタンではありますが、6村の防災減災委員会のうち、一つの委員会は女性により形成されました。その村では、男性の多くが出稼ぎで不在なことから、初動対応チームも女性メンバーで構成されています。彼女たちが安心して研修に参加できるよう、ADRAは細心の注意を払って研修の準備を進めました。
2023年10月の地震により、住民の危機意識は上がりました。そのような中、みな真剣に研修に参加していた様子が伝わってきました。
事実、研修実施前に100点中平均4点であったテスト結果は、研修実施後には平均93点にまで向上していました。ANDMA職員のみの結果に注目すると、研修前は平均40点だった結果が研修後には98点と、こちらも大幅に点数の向上が見られました。また研修実施後の点数が100点に近いことからも、研修で、ほとんどの参加者が防災に関する知識を身に着けたことが伺えます。
もちろん、テストの結果が良くなったからと言って、すぐに災害対応ができるようになるわけではありません。しかし、今回の研修を皮切りに、人々の災害に対する備えがより万全になることを願いたいです。
不幸にも大きな地震に襲われたヘラート。その経験に、今回の防災教育で得た知識を併せ、彼ら、彼女たちが周辺地域も含めたリーダーとして、アフガニスタンの防災減災を引っ張り、今後のアフガニスタンにおける災害対応に立ち向かっていってくれることを期待します。
(執筆:アフガニスタン事業担当 堀 真希子)