NPO法人 アドラ・ジャパン ADRA Japan
Nepal Oversea Training
三育学院大学 海外実習 2013


概要

2013年7月29日から8月9日まで、三育学院大学(千葉県大多喜町)看護学部の3年生6名を受け入れ、ネパールにて国際看護実習を行ないました。ADRAの過去の事業地で人々の生活に触れたほか、現地の医療事情について学ぶため病院見学を行なうなど、医療や国際協力について学ぶ機会を提供しました。

 

カブレ郡にて

シーア記念病院

首都カトマンズから車で1時間ほどのところにあるカブレ郡は、ADRAが過去25年近くにわたって様々な事業を行なってきた地域です。ADRA Japanが毎年11月に実施している口唇口蓋裂医療チーム派遣事業は、カブレ郡のバネパ市にあるシーア記念病院の協力を得ています。

このシーア記念病院では併設されている看護学校での交流プログラムを実施したほか、病院の施設を見学しました。

交流プログラムでは、参加した学生が英語でプレゼンテーションを行ない、日本の看護学のカリキュラムや大学の様子などをネパール人の看護学生に伝えました。文化紹介の一環として浴衣を着た学生が壇に上がると、ネパールの看護学生は興味津々で見入っていました。

昼食を挟み、午後からは病院見学を行ないました。病院の様々な設備のほか、病棟では入院患者さんの術後ケアの様子や清拭(シャワーを浴びられない患者さんの体を拭いてあげること)の様子を見学させてもらうこともできました。また産婦人科病棟では、出産を終えたばかりの母親と生まれたての赤ちゃんにも出会うことができました。

 

プレゼンテーションは英語で行い、浴衣を着た学生も登場

病棟での術後ケアの様子を見学

清拭の様子を見学する学生たち

数時間前に産まれたばかりの赤ちゃんを抱っこさせてもらいました

バイオガスプラント導入家庭

バネパ市の近郊では、人や家畜の排泄物からメタンガスを産出することのできるバイオガスプラントを導入した家庭を訪問しました。バイオガスは一ヶ月半ほどでシリンダーを1本使い切ってしまうプロパンガスと異なり、排泄物をタンクに溜めておける限り恒久的にガスを利用できる優れた方式です。

家の中にも入らせてもらったところ、料理をする部屋の天井はかつて薪で煮炊きをしていた頃の名残か、ススで真っ黒。バイオガスを導入するまでは料理の時に出る煙で母親や子どもが健康を害することもあったと聞き、ガスがあることの大切さを学ぶことができました。

プライマリー・ヘルスケアセンター、簡易保健所

ネパールの人々が日常的に利用できる医療サービスを理解するため、地域医療を担うプライマリー・ヘルスケアセンターと簡易保健所を訪問しました。治療する患者さんの傾向などについて教えてもらったほか、処方する薬剤や栄養啓発のためのポスターを見せてもらい、現地の医療サービスの一端に触れることができました。

患者さんに処方する薬剤を見せてもらいました

学校

ADRA Nepalは経済的な事情により学校に通えない子ども達の学費を支援する活動を行なっており、ADRA Japanもこの活動に賛同して日本国内で支援者を募り、100人の子ども達の勉強を支えています。

今回は2か所の学校を訪れ、授業の様子を見学させてもらいました。そのうちの1校では教師からのリクエストを受けて急遽、日本語の授業をすることになり、看護学生たちは子ども達を相手に簡単な日本語の書き方や読み方を教えたり、子ども達の名前をカタカナで書いてあげたりして楽しい交流の時間を持ちました。

英語と日本語を並べて書き、読み方を説明


子ども達の名前をカタカナで書いてあげる学生

 

カトマンズにて

母子保健事業に関するレクチャー

ADRA Japanは2012年から2015年までの3年計画で、ネパール西部の山岳地域に妊産婦のためのお産センターを建設し、医療従事者をトレーニングする事業を行なっています。この事業をネパールで統括しているADRA Japanスタッフの小川が、ネパールの妊産婦や新生児が置かれている厳しい環境について紹介しました。日本とはかけ離れた状況で出産に臨む女性たちの話を聞き、学生たちは圧倒された様子でした。

ネパールの母子保健の実情を聞く

 

ハンセン病患者居住区

首都カトマンズから車で30分ほどのところに、かつてハンセン病に悩まされていた方々が住む集落があります。ハンセン病は「らい菌」によって引き起こされる感染症で、治療法がなかった頃は発症した人は隔離、もしくは住んでいる場所から追放されていました。今は治療法が確立し、この集落に住む人々も完治しています。しかし、ハンセン病の影響で手足の指などを失っている人も多く、集落にある医療施設で定期的なケアを受けています。

訪問した日は、週に2回の定期ケアの日でした。この集落の医療施設に勤める医師は、住民たちを学生のところに呼びながら「この女性はハンセン病になって村から追われ、ジャングルの洞窟に住んでいた時に虎と一緒にいたのよ。だから私たちは彼女を『Tiger Lady』と呼んでいるし、本人もそう名乗っているの」などと話をしてくださいました。壮絶な人生を送ってきた人々を前にし、学生たちは言葉を失っていました。

ハンセン病で指を失った人のための装具の使い方を説明してくださるネパール人医師

国立病院

首都カトマンズには国立病院がいくつかあります。その中でも特に歴史の長い病院のうちの一つでは現在、日本人が施設の整備や保守点検を担うボランティアとして働いています。このボランティアの方に院内施設を紹介していただき、病院をあげて取り組んでいるリサイクル活動やゴミの分別回収についても教えていただきました。

日本人ボランティアの方や実習に来ていたネパールの看護学生と一緒に記念撮影

 

保健人口省、在ネパール日本国大使館

保健人口省(日本の厚生労働省に相当)では、医療政策を担当している医師から話を伺いました。国の予算が限られている中、貧しい人々でも医療が受けられるようにするため無料で薬剤を提供していることや、結核などの感染症への対策も取っていることなど、様々な施策について知ることができました。

また、在ネパール日本国大使館では日ネ両国間の関係や、各分野で行われている支援の詳細についてお話を伺いました。大使館に併設されている図書館も案内していただきましたが、さまざまなジャンルの書籍や雑誌が多く収蔵されており、学生たちは思い思いに本を手に取って眺めていました。

 

おわりに

今回参加した6人の学生たちは、短い滞在期間の中で多くの場所を訪問し、初めて見聞きする事柄に戸惑ったり驚いたりしながら積極的に実習に取り組んでくれました。

実習後のレポートからは、ネパールを訪れたことで大きな変化が生まれたことが見て取れました。

この実習で学んだことを糧にし、看護師としてそれぞれの目標に向かっていってくれることを願っています。

 

参加した学生と引率教員、ADRA Japanスタッフの須原

報告:須原敦

2014/05/20更新


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