教育の重要性を伝える啓発活動の紹介【ジンバブエ便りVol.44】

最初に、1980年の独立から大統領に就任し約38年に渡り政権を治めていたロバード・ガブリエル・ムガベ前大統領が9月亡くなりました。日本で報道されるムガベ前大統領のイメージは、ネガティブなものが多かったものの、ジンバブエ国民の中には英雄として尊敬されている面もありました。ジンバブエが今後さらなる発展を遂げることを祈っております。

さて、ADRA Japanは、ジンバブエにて教育環境の包括的な改善を目指して事業を行っています。今回は、7月に実施した
教育の重要性を伝える啓発活動を紹介します。

事業地であるゴクウェイ・ノース地区はミッドランド州にあり、国土の中心部に位置し、全人口の大半を占めるショナ民族もいますが、ザンビアとの国境で暮らしていた少数民族のトンガ民族も多く暮らしています。

首都のハラレとは違い、乾燥地帯であり、非常に暑く、降水量も少ないので砂漠のように地表が砂で覆われています。この地区には少数民族が多く暮らすこと、生活環境が厳しいことから政府の開発がなかなか進みません。

そのために、学校の校舎が無いなど教育環境が整備されておらず、また住民が教育の重要性を理解していない現状もあって、
高齢者およびその子ども世代には十分に教育が行き渡りませんでした。

一方で教育の重要性を理解している大人もいますが、農業では十分な収入を得られず、学費を払えないために子どもを学校に送ることを断念する家庭もあります。

そのために、ADRA Japanは、教育の重要性を伝える啓発活動、学校や学校に通えていない子どもたちの収入向上活動を行っています。今回は家庭訪問をし、教育の重要性を住民一人一人に伝える活動を紹介します。

まず、この活動に必要な地域のボランティアを募集したところ、73人もの希望者が集まりました。その方々に今回の活動の目的と方法を伝え、教育の重要性が記載されたパンフレットと共に各家庭を訪問してもらいました。

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家庭訪問前の事前打ち合わせ
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教育の重要性を伝えるメッセージが入った
Tシャツを着ての集合写真(ネニュンカ小学校)
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実際に訪問した家庭の家(土、レンガや藁を使って作られている)
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赤い服を着た父親に緑の服を着たボランティアが話をしている。
左はADRAスタッフで、右奥の人は教育省の職員
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訪問した家庭の母親と子ども(チリサ小学校)
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※上記写真の母親の他の子どもたち

家庭訪問をして話を聞くと、さまざまな家庭があり、家庭によって教育に対する考え方や子どもたちが置かれている環境が
大きく異なることに気づかされました。

例えば、※ 写真の母親の話では、仕事が無い父親が、出るか分からない金塊を見つけるために違法である採掘場に出稼ぎに行っています。残された家族に収入は無いので、息子の力を借りて仕事をしています。そのために、※ 写真の右二人の子どもは、小学校を卒業した後、中学校に行けず、牛の面倒を見るなどして家計を支えています。

この家族は、子どもを学校に送りたいと思っているものの、収入が無いために教育を受けさせてあげることができません。

今回の調査で合計73人のボランティアが、949世帯を訪問し、教育の重要性を伝えました。家庭訪問を通して、3校に共通した、子どもたちが学校に通うことができない主な原因は以下の通りであることがわかりました。

・保護者が学費を支払わない、または支払えない

・保護者の教育に対する興味関心が低い

・孤児や見捨てられた子が預けられた祖父母や親せきの家に十分な収入が無い、またはその子どもに対する責任感が欠如している

・女の子の早期結婚

このような原因を解消すべく、ADRA Japanは今後も継続的に地域住民に教育の重要性を伝え、学校の生計向上活動にも取り組み、より多くの子どもたちが学校に通うことができることを目指します。

また、学費を支払う家庭が増えることで学校の収入も増え、それにより教育環境も改善されることを期待しています。

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現在ある建物で勉強している笑顔の子どもたち(ネニュンカ小学校)
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ゴクウェイ・ノース地区の事務所近くにあるバオバブの木

この事業は皆様からのご寄付のほか、日本NGO連携無償資金協力の助成も受けて実施しています。

今後もご支援、ご協力をお願いいたします。

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