子どもたちにとって、入学や進級の季節は、期待と不安に満ちた特別な時期だと思います。
多くのウクライナの人々が避難生活を送る隣国スロバキアでは、それが9月にあたります。スロバキアの学校は今月、新学期を迎えました。
子どもたちがさまざまな思いを抱く中、異国の地で学校生活を送るウクライナ避難民の子どもたちの胸の内は、期待よりも不安の方が大きいかもしれません。
そんなウクライナ避難民の子どもたちに笑顔を届けようと、ADRAは新学期のスタートに向けて、子どもたちに、カバン、鉛筆、ノート、ハサミなど、学用品のセットを届けました。
配付当日は、行列ができるほどたくさんのお母さんと子どもたちが集まりました。
学用品を配るだけではなく、当日は子どもたちがゲームやアクティビティに参加できるイベントを開催し、たくさんの笑顔があふれました。新品の学用品を手にして嬉しそうな子どもたちの顔を見て、新学期スタートに向けて不安だった気持ちを、少しでも明るくできたのではないかと感じています。
最近ウクライナから避難してきた親子も、イベントに参加し、学用品を受け取りました。子どもが新しいカバンを受け取っている様子を見て、お母さんが涙を流されていたのが印象的でした。感謝の気持ちを伝えにきてくださいましたが、イベントで子どもの笑顔を見たり、他の避難民の方々と交流したりする中で、さまざまな思いがこみ上げてきたようでした。
そんなお母さんの涙を見て、私たちの物資支援は、ただ物を配るだけではなく、人々の心を支える支援にもなっているのだと、改めて感じました。
この事業を通じて、首都のブラチスラバでは200人、地方都市のトレンチンとケジュマロクでは195人の子どもたちに学用品を届けることができました。
この活動は支援者の皆さまからお預かりした寄付金と、(特活)ジャパン・プラットフォームによる助成金とで実施しています。皆さまの温かいご支援に、心より感謝申し上げます。
(執筆:ウクライナ事業担当 馬渕 純子)