戦闘の続くウクライナでは、怪我を負った方や火傷に見舞われた方が頻繁に病院を訪れます。
戒厳令が敷かれ、物資の調達もままならないウクライナでは治療に必要な資材や機材の確保が困難になっています。
また、砲撃により発電所が破壊されているため電力不足も深刻で、治療だけでなく救急時の連携連絡にも影響がでています。
ADRAは、負傷者が多く出ているにもかかわらず、医療が十分に提供できない現状を重く見ており、世界各地のネットワークと連携し、多くの方からの温かいご支援のもと、病院への支援に積極的に取り組んでいます。
昨年末は、複雑な外傷や火傷の治療に役立つ「陰圧閉鎖療器(VAC治療器)」をへルソン病院に7台、チェルニウツィ病院に1台、計8台を提供することができました。
この器具を使った治療では、火傷などの傷の治りが早くなります。
ガーゼ等の交換回数も減せるため、患者さんの苦痛を少なくしながら治療ができます。
現在のウクライナでは、この器具を入手することはほとんど不可能であるため、今回の支援は大変重要なものとなっています。
VAC治療用の器具がケルソン病院に7台、チェルニヴツィー病院に1台送られました。
2023年に入ってからは、キーウ緊急災害医療センターの4部門に発電機を届けることができました。
これらの発電機があれば、停電中にもタイムリーに救急状況を把握し、急を要する患者さん、被災された方に対して、より迅速に動くことが可能となります。
キーウ緊急災害医療センターでは、1月10日よりこの発電機が稼働しています。
ミサイルの砲撃が続き、いつどのように電気系統が破壊されてしまうかわからない状況ですが、発電機があれば医療を提供し続けることができます。
キーウ緊急災害医療センターに提供した発電機
さらに12日には、ウクライナ国内13カ所の病院に腹腔鏡スタンド、超音波治療器、腹腔鏡手術用モニター、除細動器、人工呼吸器、心電計、麻酔器などの医療機器を届けることができました。
現場の医師は、この新しい機器によって、1年間で5万人以上の人々が、効果的な医療支援を受けられると感謝の言葉を伝えてくれました。
医薬品や医療機器が不足していては、守れる命も守れない状況が出てきてしまいます。
ADRAは、厳しい状況が続く中でも、ウクライナの病院が人々に医療を提供し続けられるよう、必要な資材を届け、支援する活動を続けていきます。
(13の病院に医療機器が贈られました)
このような活動ができるのも、ウクライナ人道支援に温かいご支援をお寄せいただいている皆さまのおかげです。
心より感謝いたします。
(文責:広報担当 永井温子)
~お知らせ~
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また、ウクライナ危機から約1年となる2月22日(水)19時より、第2回ウクライナデー報告会「この1年、あなたの寄付がどう人々を支えたのか ~聞いて、知って、考える。インターネットで募集した1000の質問に答えます~」を開催します。
皆さまからのご質問・ご参加を心よりお待ちしております。