戦争が長期化するなか、
国内のエネルギー施設が次々と砲撃を受け、
今日、ウクライナでは大規模な電力不足に
悩まされています。
電力容量はおよそ半分となり、回復の見込みが立ちません。
12月21日の時点で、キーウにおいては電力供給システムの7割が稼働しておらず、ADRAの現地スタッフの報告によれば、電気、暖房、水が無い状況がすでに48時間以上続いています。
ウクライナの冬は、気温が氷点下10度、ところによっては20度まで下がります。
間もなく本格的な冬の到来を迎え、こうした電力不足が深刻な問題となっています。
地域によっては停電により、水道のポンプが停止して断水が起こり、電力を必要とするガスの供給にも影響が出ています。
停電の影響は各家庭だけではなく、病院や学校にも及んでいます。
停電が続く小児病院では医師が真っ暗な部屋で卓上ランプの小さな明かりを頼りに、生後4か月の赤ちゃんを診察している様子がニュースで流れました。
また、発電機で最低限の機械だけを動かし、懐中電灯で照らしながら心臓の手術をする様子も報じられています。
キーウのある学校では、暖房設備が壊れ教室の温度が氷点下まで下がるため、2カ月間の休校を余儀なくされました。
電気が復旧し、学校に新しい暖房設備が届き、久しぶりに友達と一緒に学校に通うことができるようになった男児は、嬉しさをにじませながらも「またいつ停電が起こるかわからないから、いつまで学校に通えるかわからない」と語っていました。
このような中、ADRAは厳しい冬を越えるための支援を継続しており、これまでの食料や日用品の支援に加え、薪などの配付にも取り組んでいます。
また、周辺国からも発電機を調達し、ウクライナ国内に運んでいます。
スロバキアでも1台9kwの出力がある発電機を12台、調達することができました。
この発電機は1台5000ユーロ(約71万円)です。
病院などを優先に届ける予定で、発送の準備を進めています。
これらの支援ができるのも、ひとえに皆様のお力添えのおかげです。
心から御礼申し上げます。
ただ、電力のひっ迫状況とこれからますます厳しくなる冬の寒さを考えると、この支援はまだまだ十分ではありません。
何千もの避難所や、凍えたウクライナの子どもたちが暮らす場所が、電気も暖房もない状態に置かれています。
ウクライナ国内の状況は大変厳しいものですが、ADRAは引き続きウクライナの現状と人々のニーズを把握し、必要とされている支援を届けることができるよう活動を続けてまいります。
(文責:広報担当 永井温子)
ウクライナ支援特設ページはこちら