

「おや。私は一体誰と話しているんだろう。」
ADRAの同僚と話していると、狐につままれた気分になることがあります。目の前にいる先輩の顔に、その人のお子さんの顔が重なるのです。
冒頭の写真をご覧ください。昨秋ADRAが参加したイベントで撮影したものです。2日間の大イベントが始まる朝、参加した職員が円陣を組んで、試合前のスポーツ選手よろしく「頑張りましょう!」と気持ちをひとつにしました。
さて、みなさん、輪の中に小さな手がいくつか混じっているのにお気づきでしょうか。ついでに、ぬいぐるみも2つほど参加しています。この日はメンバーの子ども達が一緒に参加して、訪れるお客様のおもてなしを手伝ってくれたのです(といっても大人と同じようにはいかず、時にはブースの周りで戯れていましたが)。
子どもがいない私にとっては、小さな方々と接するのは易しいことではないのですが、「この人形の名前はね…」と話しかけてくれると、かわいいなと思わざるをえません。
ADRAでは同僚の子ども達は身近な存在です。イベントやボランティアの際に顔を合わせることもありますし、学校が休みの日に職場の共有スペースでお母さん、お父さんの仕事が終わるのを静かに遊びながら待っている姿も目にします。
職員が育児を個人のこととして抱え込まず、それぞれの家庭の事情に合わせながら仕事と両立ができるように、職場全体がひとつの家族となって子育てを見守ろうという力強い空気があるのです。柔軟な働き方がありながらも……いえ、柔軟な働き方があってこそでしょうか、子育てや介護をしているスタッフが仕事の質に影響を出さずに働いていることを、自組織のことながら感嘆して眺めています。
子ども達をよく知っているので、その親御さんと話していると、成長したその子と話しているような感覚に襲われます。一生懸命働くADRA職員の背中を毎日見ているから、きっと素敵な大人になるんだろうなと、未来のことを考えると、幸せな気持ちが湧きてきます。
(執筆:市川結理)