環境に配慮した汲み上げ井戸で、難民と住民が共生できる農園をエチオピアに【アースデイ】

2025年4月19日・20日、ADRA Japanは代々木公園で催されるアースデイ東京2025 に参加します。

出展を記念して、事業部スタッフが日頃携わっている事業を環境やサステイナビリティの視点から紹介します。

膝まで隠れるほどの雑草が生い茂る野原に、ADRAのスタッフと行政担当者が並んでいます。見渡す限り、緑の海。遠くには、島のように浮かぶ、こんもりとした緑の丘。写真から青々とした草の香りが漂ってくるようです。

エチオピア、ガンベラ州の事業地は自然にあふれていますが、雨季の前後に限ったこと。日本の冬から春にかけて訪れる乾季は、大地が渇き、あたりの風景はくすんだ茶色へと変化します。ガンベラ州の土地は肥沃で農業に適していますが、農業用水を天水に依存した農法では乾季に耕作を行うことができません。

ガンベラ州はエチオピアの西端に位置し、南スーダンに食い込むような形をしています。南スーダン人と同じヌエル民族が多く居住していることもあり、混乱の続く南スーダンから38万人以上難民を受け入れています。実に人口の45%が難民という状況です。

しかし、急激な物価上昇や国際援助の減少により、近年、難民への食料配給が減少。この事態によって地域住民と難民両方の生計が圧迫されることとなりました。窃盗などが多発し、地域住民と難民間、同じ地域に暮らす異なる民族間では緊張が高まっています。

今後、州政府により難民定住策が進むことから、食料供給を安定させ、住民と難民の平和的な関係を築くことが不可欠です。

難民キャンプの様子。大変な環境でも、子供たちは元気にはしゃぎ回っています。

2025年、ADRAのプロジェクトを通じて、このガンベラに新しい農園が誕生します。

井戸から汲み上げた水をパイプで農地に行き渡らせることで、乾季にも農業を営むことのできる農法を実現します。汲み上げには、太陽光パネルで発電したソーラーエネルギーを使用し、持続可能な設備を目指します。

この農園では、地域住民と難民からそれぞれ農業経験者が選ばれ、灌漑設備や農業に関する研修を受けた上で作付けを行います。同プロジェクトでは地域の平和的共存意識を高める取り組みも行っています。

水が出た!選定した土地によっては、掘っても十分な水が出ないことも多いのです。
長期に渡り関わって来たスタッフの喜びもひとしおです。

安定的な農業生産と、地域に暮らす人々の平和的関係の構築が両輪となり、コミュニティの発展につながっていく、そんな未来を思い描きながら、灌漑設備の建設作業を進めています。

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執筆:市川 結理

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