「きれいな水を飲みたい」という住民の夢が実現しました

ネパール西部のバルディヤ郡には、乾季になると地割れし、農作物が枯れてしまうほど干上がってしまう地域があります。住民の多くは、手押しポンプで汲み上げた地下水を生活用水として使用していますが、大腸菌類が含まれており、下痢や嘔吐などの健康被害が出ていました。

ADRAは、このバルディヤ郡にて3か年の健康改善事業に取り組んでいます。昨年度は、ヤマハ製浄水装置を設置しました。

今年度は、別のビジャヤナガル村で高架水槽の建設に取り組んでいます。水不足が大きな課題となっていたこの村では、以前、政府によって地下水を汲み上げるために深さ120mの掘削が行われたものの、その後資金不足により工事は中断され、放置された状態になっていました。このままでは、住民がきれいな水を口にすることはできません。

そこで、ADRAは住民からの要望を受け、現地調査をし、支援活動を開始しました。また、ビジャヤナガル村の水衛生委員会を活性化し、自治体と協議を重ね、この地下水を村の各所に配水するための高架水槽建設を計画しました。

気温40度を超える真夏の8月から建設作業を開始し、10月には1万リットルを貯水できる高架水槽と、汲み上げられた水が村内の複数の地区で利用できるよう10か所の水栓の設置が完了しました。同月28日、自治体関係者・保健局職員・水衛生委員会と近隣の住民を含む約100名がこの場所を訪れ、引き渡し式が行われました。

この様子は、ネパール国内のオンラインニュースにも取り上げられました。そこには次のように記載されています。

“「きれいな水を飲みたい」というビジャヤナガル村の住民の夢が実現しました”

Naya Shira | » मुक्त कमैया बस्तीमा स्वस्च्छ पिउने पानिको व्यवस्था

自治体長からは、「設置された高架水槽による配水設備を適切に利用し、維持していくのは我々自治体と地域住民の責任です」との心強いスピーチが行われ、保健局長からも「ネパールの憲法にある、『健康への権利』の確保に多大な貢献をしていただきました。携わってくださった支援機関、地方自治体、パートナー団体に心から感謝の意を表したいです」とお礼の言葉がありました 。

村の住民からは「今までは、手押しポンプ井戸から水を汲み、生活をしていました。これからは、高架水槽からきれいな水を得ることができるので、病気にかかる頻度を最小限に抑えることができるでしょう」と、 期待の声も聞こえてきました。

既に高架水槽からの配水が始まっており、今後は毎日約500世帯の住民に対して、待ち望まれていたきれいな水を届けることができるようになります。ADRAで設置した水栓以外にも、住民が自治体に働きかけ、新たに水栓6か所の設置も予定しているそうで、地域の人々の高い関心と積極的な参加が伺えます。

実現した住民の夢がずっと続くよう、ADRAは引き続きビジャヤナガル村の水衛生委員会と共に、高架水槽の持続可能な運営・管理を検討していきます。

※ この支援活動は皆さまからのご寄付と、日本NGO連携無償資金協力の助成も受けて実施しています。

執筆:ネパール事業担当 渡辺 陽菜

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