「教育は人生そのもの。」ジンバブエにおける教育の意味

ジンバブエ事業担当の高橋です。

私たちが取り組んでいる活動に関心を持ってくださる皆さまに心より感謝申し上げます。

アドラが支援を行うジンバブエの「教育」には、そこに関わる人々にとってさまざまな意味があります。

それは時として将来の自分のためであり、家族を支えていくためであり、純粋に学ぶ喜びを感じるためでもあります。

私たちが活動している学校のひとつ、首都ハラレから車で8時間のゴクウェ・ノース地区にあるネニュンカ小学校で働くドゥベ先生の人生も、教育によって大きく変化しました。

先日、インタビューする機会があったのでご紹介します。

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ドゥベ先生は、ジンバブエの少数派民族であるトンガ族の出身で、一夫多妻の家庭に生まれました。

トンガ族は長年社会の主流から取り残されてきており、ドゥベ先生の家庭も子ども全員を学校へ通わせる経済的余裕がありませんでした。

その中で学校に通うことができたドゥベ先生は、家族の勧めもあり大人になったら教師になるという夢を持つようになります。

家族もドゥベ先生の成長に大きな期待を寄せていましたし、ドゥベ先生も期待に応えたいと思ってました。教師になることができれば、安定的な収入で家族を支えることができるからです。

ですが、教師になる挑戦はドゥベ先生に思いもよらない変化をももたらします。

それは民族の多様性に対する自身の態度の変化でした。

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教師トレーニングには、教師を目指す若者がジンバブエ各地から集まっていました。そのトレーニングの中で、ドゥベ先生自身、少数民族として社会から疎外され苦悩してきた経験から、トンガ族以外の部族に対して不寛容になっていたことに気がつきます。

特に、ジンバブエで多数派のショナ族の人々に対して劣等感を感じていることに気づきました。

ところが、教師トレーニングを通してジンバブエ各地から集まったさまざまな言語を話す仲間と過ごすうちに、違う部族を評価し認められるようになったのです。

民族の違いに対して寛容になることを、教師になる勉強をする過程で身に着けることができました。

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ドゥベ先生は、現在ネニュンカ小学校で4年間教鞭をとっており、トンガ語を教えるのがとても得意です。

少数派民族の言葉であるトンガ語が教科に含まれるジンバブエの小学校は多くありませんが、誇りと喜びをもってトンガ語を教えるドゥベ先生の授業に、子どもたちも熱心に取り組んでいます。

中にはトンガ語を話さない部族の子どもたちもいますが、ドゥベ先生がすべての部族の子どもたちに対し、愛をもって接することができる教師になれたのです。

また、ドゥベ先生に起きた変化は子どもたちにとって立派な教師になれただけではありません。教師として仕事を始めて得た収入で兄弟たちを学校に通わせることもできるようになり、家畜を飼い生活を安定させるという家族の期待にも応えられて
トゥベ先生も家族もとても誇らしく思っています。

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最後に、ドゥベ先生が「教育」について語ってくれた言葉をご紹介します。

「教育は人生そのものです。教育は人に行動変容を起こすことができます。そして人を前向きにしてくれます。」

「教育を通じて、子どもたちは、道徳心と価値観を形成することができます。そして、私自身が、父親として、子どもたちを導く保護者として、彼らのポジティブな変化を引き出せるよう、しっかりとコミュニケーションをとっていきたいと思っています。」

教育によって自分自身が成長し、家族を支えられるようになり、子どもたちを導けるように変化成長したというドゥベ先生の話によって、私たちが支援をする人々にとって教育がどんな意味を持つのか、対話を通じてしっかりと向き合い、ジンバブエの人々の生き方を支える教育の基盤作りに寄与していきたいという気持ちが一層強くなりました。

私たちの活動に共感し応援してくださる皆さまに、心より感謝申し上げます。

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(雨風関係なく、授業を行えるようになった新しい校舎。教える先生の姿勢にも変化がみられています。)

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