台湾|震災で大打撃を受けた観光業 地元民の生計をサポート

2024年4月3日午前7時58分、台湾の花蓮県を中心にマグニチュード7.2の強い地震が起き、死者18人以上と負傷者1,100人以上の大きな被害をもたらしました。これは台湾で1999年に大きな被害を出したとき以来の地震で、各地で建物や道路、鉄道などが影響を受けました。

ADRAは現地パートナー団体であるThe Mustard Seed Mission(MSM)やChinese Christian Relief Association(CCRA)と連携して、これまで避難所の運営、キャッシュフォーワーク(緊急雇用創出)、家屋の修理、水タンクの設置、家電製品や緊急支援ボックスの配付、資金援助などの支援を実施してきました。

現在、花蓮県で復興支援活動が行われる中、大きな課題のひとつが地元の方々の生計維持です。花蓮県は観光業が収入の大半を占めており、太魯閣国立公園が観光地として有名でした。

しかし、今回の地震で美しい景観は深刻な被害を受け、落石や土砂崩れも相次いだことで道もふさがれ、調査した地質専門家によると元の状態に戻るのに少なくとも5年はかかると言われています。

さらなる地震への恐れと太魯閣国立公園に入れないことが重なり、観光客は減少し、多くの地元の人々は収入源を失っています。

観光バスの運転手として生計を立てていた阿丹さんは、妻と娘の3人で花蓮県に住んでいます。しかし、震災の影響で旅行客の足が遠のき、観光産業が盛んだった花蓮県全体が壊滅的な経済打撃を受けると、阿丹さんもその流れから逃れることはできず、ついには仕事を失ってしまいました。

その時のことを阿丹さんはこう語ってくれました。

「日雇いの仕事も見つからないし、日に日にお金がどんどん減っていくのを見ると、本当にどうしたらいいかわからず、とても落ち込んでいました」

ある日、阿丹さんは牧師の紹介でMSMを訪問すると、事情を理解してくれたスタッフが、MSMでフードバンク運営のサポートをする仕事を紹介し、収入を得て働くことができるようになりました。

「お陰で気持ちを安定させることができました。まずは現状を打破し、生活費を確保し、今後のことを考えていきたいと思います」

復興に意味ある仕事を創出し被災者を雇用するキャッシュフォーワークの支援は2024年末まで継続を予定しています。被災された方とその家族への経済的支援だけでなく、技術の習得もサポートしており、再就職や転職が有利になることが期待されています。

阿丹さん(右)の顔からも安堵の表情が読み取れる

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