アドラについて / OUR MISSION アドラの活動 / OUR WORK あなたにできること / OUR NEED




◆事業の契機
1994年からアドラ・ジャパンの事業に参加していた水野 谷氏が青年海外協力隊として、1997年にバヌアツ共和国に赴任した。赴任期間中に水野谷氏からアドラ・ジャパンにバヌアツで青年海外派遣ボランティアを 行ってはどうかと提案があった。折りしも2000年の春の事業の候補地を探していたところなので、前向きに検討することになった。
バヌアツでは昨今の観光化に伴い、菓子や清涼飲料水などの今までの伝統的な食物と異なる柔らかい食べ物が流入した。結果、虫歯が増えたとの指摘があっ た。一方で、バヌアツには医科大学はなく、歯科医師は外国からの派遣に頼らざるを得ない状況であった。そのような情報の中、歯科衛生事業は需要が あると判断した。

◆歯ブラシ
今回の事業で歯ブラシを配布することに決め、受益者は現地の小中学校3,000人とし、3,000本の歯ブラシを得ることを目標とした。2月初 旬に朝日新聞の取材を受け、当事業で歯ブラシを受け付けている旨を述べた。すると約1,200人の方々より、約35,000本の歯ブラシの寄付を 頂いた。予想を上回る本数であったので、余ったものはフィリピン、タイ、ロシアや了承の得られたものに関してはADRAバザーで販売し、収益金とした。

◆人形劇
歯に関する知識がバヌアツにはかけているとのことなので、人形劇のメッセージはごく簡単なものにすることにした。ある家族の一員に虫歯が出来て、そこからなぜ虫歯が出来るのか、と説明する内容で、三場約15分の脚本で、水野谷氏によってビスラマ語に翻訳された。
人形劇の人形は一つ一つ手作りで作るため、一つ完成させるのに、ボランティア1人あたり1ヶ月かかった。バヌアツに入国後、JICAの方々に協力してい ただき、ビスラマ語への吹き替えが行われ、人形劇の練習が始まった。特に、観客と人形の目線に気をつけながら、練習風景をビデオに撮り、反省を繰り返しな がら練習がおこなわれた。

◆事業場所
当初、保健省との計画では、首都のあるエファテ島、トンゴア島、タンナ島で事業を行う予定だったが、バヌアツ中央病院に勤務している歯科医師 Dr.Korina(キリバス共和国)の提案により、口腔状態の悪いタンナ島だけで事業を行うこととした。タンナ島での活動は、なるべく奥地にも 行き、永久歯を持った人を事業の対象とするために、小中学校で事業を行うこととした。その小中学校の選定は保健省に一任された。

◆ポスター作成
ポスターの内容は「歯をきちんと磨きましょう」というものと、「椰子の実で歯ブラシを作ろう」という2枚である。原本は
Dickson,M Where There Is No Doctor(P5),Hesperian Foundation,Coliforniaである。

◆一日の事業の流れ
8:00 出発
9:00 到着・準備
9:30 人形劇(約15分)
10:00 歯磨き指導(大きな歯の模型、歯ブラシを用い、歯の磨き方を指導。その後、テスターと歯ブラシを配り、テスターをかんだ後、自分で歯を磨く。ボランティアは鏡を見せながら歯磨き指導をする。)
11:00 歯科検診(虫歯の数とその状態、歯肉炎・歯周炎の有無、不正咬合の有無)
11:30 治療開始(C3以上の抜歯、簡単な充填、史跡除去)

◆滞在記

3/1 10:00 参加者、アドラ・ジャパン事務局に集合。人形劇の練習。
16:00 成田に向け出発。歯科関係者と合流。 20:40 ニューカレドニアに向け出発。
3/2 6:50 ニューカレドニア着。一部市内観光へ。
12:40 バヌアツに向け出発。
14:00 バヌアツ・ポートビラ到着。
3/3 午前:JICAバヌアツ事務所訪問。
午後:保健省とのミーティング。ポスターの授与。その後保健省の大臣と面談。
人形劇練習
3/4 午前:SDA教会で、子供たちに人形劇を披露。
午後:自由
3/5 午前:タンナ島出発に向けて準備
午後:タンナ島に向けて出発。到着した後、事業の準備。
3/6 ●Launagalian Tafae Junior Secondary School
イギリスとフランスのバイリンガル系で272人の生徒。その日は休みだったが、特別に生徒を招集。設備もしっかりしており、タンナでは名門。生徒は少し 興奮気味。生徒の大半は歯ブラシを使っており、数人の生徒に虫歯があったが、歯の状態はそれほど悪くなかった。
●Tanna Evergreen Bangalows
昼食を取った場所で、そこの子供たちと大人(17人)にも人形劇を見せ、歯ブラシを配布。
3/7 ●Lanakel Secondary and Primary School
イギリス系の島一の名門校で、一番人数も多い。まず、午前中中高生に人形劇を見せ、歯磨き指導。生徒は255人。タンナ島で一番都会にあるために、口腔 状態は一番ひどかった。午後、小学生に人形劇を見せ、歯磨き指導。生徒は120人。生徒のうち1人がテスターをかんでいるときにもどしてしまった。テス ターに問題はなかったが、緊張してつばを出すのを我慢してしまったせいと思われる。テスターについてもっと説明をするように反省事項があがった。
3/8 ●Lowanatom Primary and Secondary School
フランス系のカソリックの名門校。「タンナ島で一番秩序ある学校」と言われている。事実、他の学校では検査の順番を適当に待っているのに対し、この学校 では順番が決められており、先生が名前を呼ぶとすぐさま生徒が出てきて、名前と年齢を検査する人に教えてくれた。生徒の口腔状態はそれほど悪くないが、大 人の中に、歯が欠けていて、残根があり、それが引き抜けなくて大変な人がいた。また、歯が磨耗している人が多く、歯が痛いと訴える人もいた。
3/9 ●Isangel Primary and Secondary School
●Corner Primary School
歯が痛いと認識のある生徒のみの治療がおこなわれた。ある男子生徒の虫歯でとけた歯を削っていると、なかからグァバの種が後から後から出てきた。さぞ痛かったであろうと思われる。虫歯でとけた穴の中に次々と入り込んでしまったらしい。
3/10 ●Tufu Primary School
英語教育を行っている学校で、生徒は109人。虫歯はあまりないが、(ただし、1人で8本も持っている子供がいた)3分の2の生徒が歯肉炎を患ってい た。この辺りでは甘いものはあまりないが、硬いものを食べ過ぎて歯が磨耗してしまうこともあるようだ。タンナ島にはカバという飲料があり、これは男の子が カバの堅い木をかまされ、その濾したカバの汁を大人が飲むという習慣があり、幼い頃にエナメル質を削ってしまい、永久歯にも悪影響を及ぼしているようであ る。
午後:観光 ジュゴンを見ることができました。
3/11 事業はお休み。山本医師、今野歯科衛生士が帰国し、かわりに村野歯科衛生士が到着。
3/12 事業はお休み。自由に観光などに行った。
3/13 ●Lanaura Secondary and Primary School
イギリス系の学校で、生徒数250人。3月は雨季のため天気が崩れやすく、この日は雨だった。生徒の中に奥歯が欠けている子供がおり、日本では抜かないような歯でも、タンナ島では修復技術がないために、抜いてしまうとのことだった。
3/14 ●Dippoint King Cross, Lautapga Primary School
この日も雨。学校はフランス系で生徒数149人。雨の音がひどく、人形劇の音はほとんど聞き取れなかったようである。人数の関係上、2回公演をおこなっ たが、2回目は小降りになり、ちゃんと聞き取れたようである。午後、治療を始めた。日本人より、歯の根が長く、無理に抜いてしまって残根が残っている子供 が多かった。
3/15 ●Middle BushのLamanetu Primary School
イギリス系の学校で、生徒数140人。この日は雨がやみ、ガジュマルの木の下で、公演。午後には日本から根本歯科医師が到着し、そのまま治療にあたる。子供の虫歯は10校の中で一番少なかったが、大人の治療が多かった。
3/16 ●Futukai Primary School
フランス系の学校で、生徒数121人。
3/17 ●Launalang Eniu, Greenhill Primary School
イギリス系の学校で生徒数186人。とても山奥にあり、一番貧相な子供が多く、新聞紙一枚も手に入らないぐらい物がなかった。地元の議員は「ここは山奥なので、援助が届かない。どうか、また来て欲しい」とのことだった。
夜はお別れ会。
3/18 タンナ島を離れ、バヌアツの首都ポートビラに向かう。
3/19 根本医師、村野歯科衛生士、ニューカレドニアに向かい,帰国。
3/20 残りの参加者、ニューカレドニアに向かい、翌日22日に帰国。無事に解散。


◆調査結果
歯科 治療がまったく行われておらず、その一方で清涼飲料水、菓子が流入しているというのが、事前の情報であった。しかし、約1780人の調査をした結果、一人 あたりの虫歯数、平均0.8本という極めて良好な結果を得た。ただ、虫歯を持つものは複数持っており、最高で10本の虫歯を1人で持っている者もいた。タ ンナ島の口腔状態は歯科治療がほとんど行われていないにも関わらず、それほど緊急を要するほどひどくないと思われる。しかし、成人の中には歯周病が多く見 られ、歯がなくなっている者もいた。これは食生活の影響を受けていると考えられるが、それが児童にも影響が出てくるだろうと懸念される。

◆これからの展望
今回は水野谷氏の協力のおかげで、現地でもあまり不便することなく行動することが出来た。バヌアツは治安も比較的よく、衛生面でもほとんど問題がない。 現地からも引き続き、事業を続けて欲しいとの要請もある。今回はタンナ島だけであったが、バヌアツは約80の島々からなっていることを考えると、 まだまだ需要はあると思われる。
しかし、資金獲得、医療器具の不足の問題が挙げられる。とくに医療機器は島を回ることを考えると移動式の歯科セットの購入を検討しなければならないが、 約200万円するもので、また電気を使用するものなので、日本製の物を買うことがいいことかどうか不明である。できればオーストラリアなどの近隣の先進国 で購入することを検討しなければならない。
これからのバヌアツを考えると、歯科の専門家を置くことも必要であるが、歯科衛生士を養成(または歯科の知識も持った看護婦)し、歯の大切さを啓蒙して いく必要があると思われる。また子供に歯ブラシ指導をするだけでなく、教師に歯の大切さをしってもらうことが大切だと思われる。









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