NPO法人 アドラ・ジャパン ADRA Japan
Laos Agricultural Development
ラオス 農業開発支援事業

3. 事業内容とその成果 ‐食糧確保と水資源の活用を目指して‐

事業の開始

 2009年6月より「少数民族食糧確保のための支援事業」が、2009年10月より「住民参加による水資源有効利用のための事業」が、それぞれ本格的に開始しました。これらは、日本からの資金的援助を受けつつ、ADRA JapanおよびADRA Laos、ラオス政府、ロン郡の住民が協力し合う形で事業を行なうものです。

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ラオス政府との調印式 日本とラオスが協力し、いよいよ開始

 

 事業を始めるに当たり、各村の住民に事業の開始を正式に連絡するとともに、村の現状や可能性などについて話し合いました。さらに、各村の基本情報、農業用地や自然資源、食糧作物、商品作物、家畜、非木材林産物(自然に生育しているキノコや薬草など、生活に役立つ植物)に関する調査を実施しました。

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 続いて、住民との話し合いと調査結果を分析し、各村で実施可能と考えられる農業活動を具体的に選定しました。主な活動内容は、稲作、畑作、学校・家庭菜園、家畜、森と非木材林産物の保護、マーケット調査、水資源の有効利用です。また、各村に活動を運営・実行するための責任者を選び、ADRAの活動に関心と意欲のある住民が一緒になって事業に取り組むことができるようにしました。
その後、現在にいたるまで、技術や知識を伝えるワークショップの開催や、定期的なモニタリングなどにより、ADRA は住民の活動を支援しています。

 

事業の成果

●稲作:新しい技術と品種の導入し、収穫量を上げる

 ラオスの人々にとって最も重要な稲の生産の分野では、優良品種の導入を始めました。その結果、それまで多発していた稲の病気が少なくなり、配布した1トンの種から約66トンの収量がありました。また、SRI(System of Rice Intensification:稲集約栽培法)という農業技術を利用して、1ha当たりの計算で約8トンと、通常の栽培区の平均収穫量(6トン)よりも高い収穫を得ることが出来ました。

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●学校・家庭菜園:野菜を栽培し、栄養バランスと家計を助ける

 今後、焼畑農業が縮小していく中では、限られた田畑で食糧を生産する必要があります。しかし、事業地であるロン郡では、菜園で野菜を栽培する習慣があまりなかったため、4つの学校と33世帯の家庭で有機菜園を始めました。

 家畜糞を不浄なものと考える習慣から、家畜糞尿を有機質肥料の原料として使うことに抵抗を示す現地の人々に、それをどう理解してもらえるかどうかが課題でしたが、現在では、家畜糞を使った有機質肥料を自ら使ってみようとする村民が少しずつ出てきています。対象地域の少数民族の人にとって、大きな意味を持つ変化の兆しです。

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●畑作:多彩な商品作物を育てて、現金収入を得る

 従来の焼畑農法による陸稲栽培から、商品作物を栽培する農業への変化に対応すべく、需要の高いトウモロコシや、ゴマの栽培を支援しています。1トン弱の種を107世帯に配布した結果、150トンのトウモロコシを収穫することができました。収穫したトウモロコシは、仲買人を通じて販売することで現金収入を得ることができ、経済的自立の一助となっています。

 同時に、市場経済が未発達の現地において、収穫後の作物を村人自身が販売するための経路をどのように確保していくかという課題についても日々取り組んでおり、マーケティングの講習会を開いたり、トウモロコシの売り渡し価格の調査を行なっています。

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●家畜:家畜を着実に育て、食糧の安定確保を目指す

 山間地帯の現金収入を得る有効な手段として、家畜も注目されています。この事業では、家畜小屋の導入やエサの内容の改善、ワクチンの定期的投与など、飼育法改善指導を主に行なっています。

 また、豚や鶏を飼う資金がない村人のために、母豚や雌鶏を提供しています。37世帯の参加者に母豚を提供した結果、342頭の子豚が生まれました。また、47世帯の参加者とともに養鶏の活動も行なっており、22世帯の鶏が卵を産み始めています。

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●森の保護と非木材林産物
:森を守りながら、同時に森で採れる植物を育てる

 ラオスではもともと、森林から採れる多種多様の薬用植物や食糧植物を利用しています。その中には生姜やカルダモンなど、現地で需要の高いものも含まれています。こうした非木材林産物(森の木材以外の作物:NTFP)の栽培を支援・奨励していく活動をしています。

 具体的には、タケノコや生姜の栽培、マンゴー、パパイヤ、ライチなどの果樹をおよそ20ヘクタールの傾斜地に植え、育成しています。収穫が始まるまでには年単位の時間がかかりますが、日々の手入れを行い、近い将来、収入源のひとつとなることが期待されます。

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●灌漑の建設:限られた平地と水源を有効に使い、収量増加につなげる

 山間部の限られた水資源を活用する農業活動を支えるため、灌漑設備の修復や拡張も欠かせません。今までに50箇所以上の灌漑設備を建設しました。

 通常、灌漑工事は建設業者がほぼ全行程を実施しますが、本事業では現場監督の指導のもと、住民が全ての工程の作業を自分たちで行ないました。その結果、住民はその作業の過程で建設技術を習得し、豪雨などで灌漑が決壊しても、自身で補修できるようになりました。

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●ため池造成
:稚魚の住処を支援することで、更なる食料の安定と多様化を推進する

 村では、過去に何度か養魚池を導入したことがありました。しかし、数世帯共同で管理を行なっていたため、責任の所在を明確にするための組織運営がなされなかったことから、失敗に終わっていました。
このような背景から、本事業では共同ではなく、個人管理の養魚池を整備することにしました。村民の要望について聞き取り調査を行い、工事を開始しました。

 現在54の養魚池が造成され、2012年までに100箇所の造成を予定しています。稚魚を放流、育成することで、更なる食糧の確保と多様化を目指しています。

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2011.09.23更新

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