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Japan Human Resource Development

三育学院短期大学地域看護学専攻科 海外実習

 

7月26日から8月8日まで、三育学院短期大学(千葉県大多喜町)の地域看護学専攻科の授業の一環として行なわれた海外実習を、ネパールで受け入れました。これは2005年から毎年行なっているもので、ネパールでの実施は初めてとなります。

ADRA Japanと現地支部とが過去20年間に行なってきた様々なプロジェクトの実施地域を訪問したり、口唇口蓋裂医療チームを毎年派遣しているシーア記念病院内の看護学校の学生と交流する一方、ネパールが抱える問題を理解するために日本大使館やネパール保健省を訪問するなど、盛り沢山の内容となりました。

 

【実習1:ネパールの現状について】

ネパールの現状は?

日本大使館では、経済協力班の谷本二等書記官と警備対策官の柿沼二等書記官にお会いしました。日本政府が行なっている支援内容やその歴史、現在の治安情勢などについて詳しく話を聞くことができました。

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左が谷本二等書記官、
右が柿沼二等書記官
治安についての注意事項を伺った

保健省では、ネパール人医師から僻地医療に関する話を伺いました。山岳部では患者を搬送するための道が整っていないため、山奥の村から何日もかけて患者を背負って病院に行かなければならないという現実は、日本の学生達にはなかなか想像しがたかったようです。


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ネパール保健省の建物 地方では医療機関へのアクセスの悪さが
問題だと言うバブラム医師(中央)

カトマンズに隣接するキルティプルという町では、JICA青年海外協力隊の小川さんからゴミ問題について話を伺いました。ゴミの分別や決められた場所へのゴミ出しなどが普及していないため、チーム対抗でゴミ拾いをしたり、ゴミ教室を開くなど、地域に根ざした活動を目の当たりにしました。


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ゴミ教室ではリサイクル可能なゴミに関する
啓発も行なう
カトマンズ市の中心で放置されるゴミは
大きな問題

【実習2:ネパールの医療について】

ネパールの最新鋭の医療を見学

ネパールの大病院には、どのような設備が整っているのか。日本はどのような貢献をしてきたのか。それらを理解するため、カトマンズ市内にあるカンチ小児病院と、トリブバン大学教育病院を訪問しました。特にカンチ小児病院は、かつて日本からの支援で建物が建設されたこともあり、随所に日本とネパールとの交流の足跡を見ることができました。

また最近は、徐々にではありますが首都カトマンズ以外にも設備の整った病院が増えつつあります。今回は、カトマンズから東に40キロほどのところにあるカブレ郡デュリケル市のデュリケル病院も見学しました。清潔な小児用の入院病棟に何故か犬が入り込んでいたりと、様々な点で日本と違う環境に参加者は驚いている様子でした。

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カンチ小児病院の正面 デュリケル病院の避妊具教育のための
ポスター

 

地方の医療の現状は

ネパールで大きな病院にかかることができるのは、一部の富裕層や交通アクセスの便利なところに住む人に限られています。多くの人は、病気になると地域に根ざした簡易保健所やヘルスポストで診察を受けます。
今回は、ADRA Japanが2007年に建設した2つのサブヘルスポストと、1993年に建設したヘルスポストを訪問し、どのような疾患が多いのかなどについて話を伺いました。ごく一般的な疾患のための薬剤は無料で処方されていたり、村ごとの正確な人口統計が取られているなど、住民の健康を支える仕組みが整えられているようでした。

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1993年に建設したヘルスポスト

診療所にある薬品を保管するための冷蔵庫

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サブヘルスポスト職員から説明を受ける学生

また、バクタプールという世界遺産の都市の近郊にある岩村記念病院も訪れました。この病院は一時期は閉鎖していましたが、近年は医師や看護師などのための学校も備えた私立病院として、地域の医療を担っています。


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岩村記念病院にあった、
プラスチックのイスを利用した車椅子

さらに、都市部から遠く離れた山岳部において、長年に渡り医療を行なっているJOCS(日本キリスト教海外医療協力会)の楢戸健次郎先生からも、僻地の医療の困難さや、過酷な生活から来る怪我や病気についてレクチャーを受けました。


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楢戸先生のレクチャーでは
地方医療の実態を知ることができた

【実習3:ネパールの支援事業見学】

ADRA Nepalのプロジェクトを見学

ADRA Japanは20年ほど前、ADRA Nepalと協力してハンセン病患者のための住宅を建設しました。ネパールのハンセン病患者は、かつては自分の村を追い出されてしまい、決められた地域に集まって暮らしていました。今は治療薬も普及し、ハンセン病の菌を持っている人は誰もいません。

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病院では元ハンセン病患者が
他の患者の処置を行なっている
長屋のような建物に約60人が住んでいる

ADRA Nepalが特に力を入れているプロジェクトに、ハンセン病患者だけでなく、社会において不当に差別されたり、教育を受けられずにいた人々の権利拡大のための活動があります。今回は10年前にプロジェクトが完了した女性グループのいる地域と、人や牛の糞尿から台所で使えるメタンガスを算出するプラントを設置した地域を訪問しました。

女性グループは、プロジェクトの前後で何が一番変わったかという問いかけに「自信を持ち、尊厳を持つことができるようになった」と答えました。収入が増えたことや、子供に良い教育を受けさせることができるようになったことと同様、人として自信を持って生きることができるようになるというのも、開発支援の中で重要な要素です。

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歓迎の印のティカをつけてもらう 女性達はみな生き生きと経験を語ってくれた

バイオガスを導入した家では、食事のための煮炊きが格段に楽になり、これまで室内で薪をくべていたために呼吸器に問題が起きることが多かったものの、それも改善されたとの話を聞きました。

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手前が牛の糞などを入れるプラント プラントからのガスで調理をする女性

【実習4:看護学校との交流】

現地の看護学校との交流

ADRA Nepalが様々な医療活動を行なう上で業務提携をしている病院が、カトマンズの隣にあるカブレ郡バネパ市にあります。この病院の看護学校の生徒との文化交流プログラムがプログラムの最終日近くに行なわれました。

まず、看護学校の学長からネパールの看護教育システムについて話を聞きました。実習や理論を含め、ほぼ毎日勉強漬けの日々を送っているようです。

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学校長が看護学校のカリキュラムを説明

交流プログラムでは、双方の学生が教育システムや看護師の置かれている環境と問題点、学校で勉強しているカリキュラムなどについてプレゼンをしました。

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ネパールの看護学生も全員参加 参加者は用意した原稿をもとに英語で発表をした

最後は文化交流。ネパールの学生は各民族の伝統的な踊りを披露してくれました。日本の参加者は東京音頭をネパールの生徒たちと踊り、梅干しや金平糖などの日本ならではの食べ物を配りました。


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東京音頭にはネパール人も参加

梅干しは意外に好評

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看護学校の学生と記念撮影

参加した学生の感想

「貧困が及ぼす現状の一部ではあるが、自分の目で見ることができ、何かできることがあれば自分なりに援助してみたいという気持ちになった」
「保健に関する色々な機関を訪問し、話を聞けただけでなく、住民の方の自宅を訪問し、現地の人と話をすることができた。日本国内では到底感じることのできないことを感じることができた」
「貧困や政治、医療など多くの問題があると感じたが、特に地方に行くほど貧困が強まるという印象を持った」
「話を聞く中で、どこか「他人任せ、責任転嫁」のような発言が聞かれ、気持ちが沈んでしまった」

おわりに

今回のネパールでの専攻科実習では、医療だけでなくゴミ問題や教育に関する問題、インフラ整備の重要性、社会的弱者のエンパワーメントがどのような効果を生むのかなど、非常に多くのテーマについて学生達が学ぶ機会となりました。
短い期間であまりに沢山のことが次から次へと押し寄せてしまい、学生達にとっては少し大変な日々だったかもしれません。しかし、今回の海外実習を通じてネパールの問題に触れたことで、今後の学生達の生活に少しでも良い影響が生まれてくれればと願っています。

今回、実習に参加した三育学院短期大学の地域看護学専攻科についてはこちらをご覧下さい。

報告:ADRA Japan ネパール事業担当 須原
2009.08/27更新

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